すり鉢に入れた胡麻を、すりこ木で執拗にすり続けると、胡麻粒が鉢の内側にべったりとまとわりつく。
そんな、しつこく相手にへつらってまとわりつく様子を表すのが、「胡麻をする」(ごまをする)です。
意味
「胡麻をする」とは、自分の利益のために、他人にへつらって機嫌をとることという意味です。
上司や目上の人に対して、必要以上にお世辞を言ったり、都合よく振る舞ったりする態度を指します。
言われた本人には向けられず、その様子を見た第三者が呆れたり批判したりする際に使われる、否定的な響きを持つ言葉です。
- 胡麻(ごま):香ばしい風味を持つ種実
- する(する):すり鉢とすりこ木で細かくつぶすこと
語源・由来
「胡麻をする」は、すり鉢で胡麻をする際の物理的な様子に由来する言葉です。
胡麻をすり鉢に入れ、すりこ木ですりつぶしていくと、油分を含んだ胡麻はすり鉢の内側にべたべたと付着し、いたるところにまとわりついていきます。
この、胡麻が鉢肌にべったりとくっついて離れない様子が、人に取り入るためにあちこちへ愛想よく貼りつくような態度に重ねられ、へつらう行為を表す言葉として使われるようになりました。米をすった際の「へつらう」を意味する古い動詞「へつる」との関連を指摘する説もありますが、胡麻の粘りつく様子に由来するというのが広く知られた見方です。
使い方・例文
「胡麻をする」は、目上の人にへつらう態度を批判的に指摘する場面で使われます。
- 彼は上司に胡麻をするのがうまく、評価だけは高い。
- 取引先に胡麻をするような態度は感心しない。
- あからさまに胡麻をすっても、実力がなければ信頼は得られない。
類義語・関連語
「胡麻をする」と同じように、相手にへつらう態度を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 尻尾を振る(しっぽをふる):
犬が飼い主に媚びるように、機嫌をとろうとすること。 - おべっかを使う(おべっかをつかう):
相手が喜ぶことだけを言って、機嫌をとること。
英語表現
butter someone up
バターを塗るように、お世辞を重ねて相手の機嫌をとる様子を表す表現。
He always tries to butter up his boss.
(彼はいつも上司に胡麻をすろうとする。)
世界の言語にも見られる「食べ物でへつらう」表現
相手の機嫌をとる態度を、食品を使った動作にたとえる発想は、日本語の「胡麻をする」に限らない。
英語の「butter someone up(バターを塗る)」は、パンにバターを塗り込むように相手を滑らかにもてなす様子を表し、韓国語にも似た発想の言い回しが存在する。いずれも、台所や食卓という身近な生活道具の動作を借りて、へつらいという人間関係の機微を表現している点で共通している。
調理の一場面が処世術の比喩に転用される背景には、誰もが日常的に見聞きしてきた身近な動作だからこそ、意味が伝わりやすいという言葉の成り立ち方が関わっていると考えられる。









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