意味
風の便りとは、どこからともなく伝わってくる噂や知らせのことという意味です。
誰から聞いたのかはっきりしないものの、自然と耳に入ってくる情報を指し、真偽は定かでないという含みを持った、軽やかで曖昧なニュアンスの言葉です。
- 風(かぜ):出所の定まらない、漠然とした伝わり方のたとえ。
- 便り(たより):知らせ、消息。
語源・由来
「風の便り」は、目に見えないのにどこかから吹いてくる風のように、情報の出所がはっきりしないまま伝わってくる様子を言い表した言葉です。
手紙や電話がない時代、人づてに伝わる情報の多くは伝言を重ねるうちに発信者があいまいになりました。
そうした間接的な情報の伝わり方を、風という目に見えない自然現象になぞらえて表現したものと考えられています。
使い方・例文
「風の便り」は、はっきりした出所は分からないが、自然と耳に入ってきた情報を表す際に使われます。
- 風の便りに、彼が引っ越したと聞いた。
- 旧友の近況を風の便りで知った。
- 風の便りなので、真偽のほどは分からない。
類義語・関連語
「風の便り」と同様に、出所のあいまいな情報の伝わり方を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 人づて(ひとづて):直接ではなく、人を介して伝わること。
- どこからともなく:出所がはっきりしない様子。
英語表現
a little bird told me
情報源をぼかしながら、噂で聞いたことを伝える際の慣用的な言い回し。
A little bird told me you’re moving next month.
(風の便りで、あなたが来月引っ越すと聞いたよ。)
平安時代の和歌にすでに見られる「風のたより」という言葉
「風の便り」という言葉は、平安時代に編まれた「古今和歌集」にすでに使われています。
紀友則が詠んだ和歌に「花の香を風のたよりにたぐへてぞ鶯さそふしるべにはやる」という一句があり、これが確認できる最も古い使用例のひとつとされています。
風がどこから吹いてどこへ去っていくのか、はっきりと知ることができないことから、出どころのわからない情報がどこからともなく伝わってくる様子を「風の便り」と表現するようになったと考えられています。
千年以上前の和歌にすでに使われていたこの言葉が、現在まで大きく形を変えずに使われ続けている点は、日本語の中でも息の長い表現のひとつだといえます。










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