意味
「殺風景」とは、眺めに趣がなく、見る人を楽しませないさまを表します。
景色や部屋のありさまに使うほか、その場の興をそぐふるまいについても使われます。
けなす言葉ではありますが、荒れている、汚いという意味ではなく、飾りや変化がないという評価です。
- 殺(さつ):けずる、そぐこと。
- 風景(ふうけい):眺め。その場の趣。
語源・由来
「殺風景」の「殺」は、命を奪うという意味ではありません。
ここでの「殺」は、けずる、そぐという意味で使われています。
つまり「風景を殺す」ではなく、その場の趣をそぎ落とすというのがもとの組み立てです。
中国では、唐の詩人李商隠が書いたとされる『雑纂』に、興ざめなふるまいを並べた「殺風景」の項があり、南宋の書物『直斎書録解題』は、世に言う殺風景はここから出たものだろうと記しています。
日本では、南北朝時代の漢詩集『空華集』に「自ら笑ふ老来殺風景」という句が見えます。
年を取って趣を解さなくなった自分を笑う、という使い方です。
景色ではなく人の側を評している点が、今の使い方との違いです。
使い方・例文
「殺風景」は、飾りけがなく趣に欠ける場所や、場の空気をそぐふるまいを評する場面で使われます。
- 引っ越したばかりの部屋は、家具もなくひどく殺風景だ。
- 祝いの席で決算の話を始めるとは、ずいぶん殺風景な男だ。
- 駅前は再開発でビルばかりになり、前より殺風景になった。
類義語・関連語
「殺風景」と同じように、趣のなさや興のそがれ方を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 興ざめ(きょうざめ):
盛り上がっていた気分が急に冷めること。 - 無粋(ぶすい):
その場の機微を解さないふるまい。 - 索漠(さくばく):
荒れて寂しく、心の潤いを欠いたさま。
「殺風景」と「興ざめ」の違い
どちらも趣が損なわれることを表しますが、何を評しているかが違います。
「殺風景」は場所やありさまの見た目を、「興ざめ」は人の気分の動きを指します。
| 語句 | 評しているもの | 変化の有無 |
|---|---|---|
| 殺風景 (さっぷうけい) | 場所やありさま | もとから趣がない |
| 興ざめ (きょうざめ) | 人の気分 | 高まった気分が冷める |
対義語
「殺風景」とは反対に、眺めの美しさや趣の豊かさを表す言葉があります。
英語表現
bleak
寒々として彩りがなく、心をなごませない眺めを表す言い方。
The new office looked bleak without any plants.
(新しい事務所は観葉植物もなく殺風景に見えました。)
bare
飾りや置物が何もない、がらんとした状態を指す表現。
The walls were completely bare.
(壁には何一つ掛かっておらず、殺風景でした。)
唐の人が挙げた興ざめの数々
『雑纂』の「殺風景」には、やってはいけない無粋なふるまいが具体的に並んでいます。
後の書物がその中身を伝えており、明の『煮泉小品』は「唐人は花に対して茶を啜るを殺風景と為す」と書き残しました。
花を眺めながら茶をすするのは、当時は無粋な行いとされていたわけです。
南宋の『娯書堂詩話』も、鶴を煮て琴を焼くという行いを殺風景の甚だしいものとして挙げています。









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