意味
「堅忍不抜」とは、どんな苦しさにあっても心を動かされず、じっとこらえて志を変えないことを表す四字熟語です。
耐えている時間の長さよりも、揺さぶられても抜けない根の強さに重きがあります。
人の性質をほめる言葉として使われ、座右の銘に選ばれることの多い語です。
- 堅忍(けんにん):かたくこらえること。
- 不抜(ふばつ):引き抜かれないこと。
語源・由来
「堅忍不抜」は、中国・宋の文人である蘇軾が書いた「晁錯論」という文章の一節から生まれました。
晁錯は、前漢の皇帝に諸侯の力を削る策を進言し、そのせいで諸侯が兵を挙げ、責任を負わされて処刑された人物です。
世の人は彼を忠義ゆえの犠牲だと同情しましたが、蘇軾はそう見ませんでした。
大きな事を成す人には、並外れた才能だけでなく、揺さぶられても抜けない意志が要る、と書き起こしています。
古の大事を立つる者は、惟だ超世の才有るのみならず、亦た必ず堅忍不抜の志有り
蘇軾はこのあと、大水を治めた禹の例を挙げます。
工事の途中には堤が崩れる恐れもあったが、禹はそうなることをあらかじめ知っていたから、いざ起きても慌てずに手を打てた、と説明しました。
「堅忍不抜」は、ただ我慢することではなく、先を見通したうえで動じないことを指しています。
使い方・例文
「堅忍不抜」は、長い逆境のなかで方針を変えなかった人や組織を評する場面で使われます。
- 十年の赤字に耐えた堅忍不抜の経営が、ようやく実を結んだ。
- 座右の銘を問われ、彼は迷わず堅忍不抜と答えた。
- けがを抱えたまま走り続ける姿は、堅忍不抜そのものだった。
類義語・関連語
「堅忍不抜」と同じく、苦しさに折れずに続ける姿勢を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 不撓不屈(ふとうふくつ):
どんな困難にも、たわまず屈しないこと。 - 臥薪嘗胆(がしんしょうたん):
目的を果たすために、あえて苦しい思いを続けること。 - 石の上にも三年(いしのうえにもさんねん):
辛抱を続ければ、いつか報われるという教え。
「堅忍不抜」と「不撓不屈」の違い
どちらも困難にくじけない強さを表す、意味の重なりが大きい四字熟語です。「堅忍不抜」は、外から揺さぶられても志が変わらないという性質に重きを置くのに対し、「不撓不屈」は、どんな困難にあっても、たわまず屈しないという姿勢そのものを強調します。
| 語句 | 重きを置く点 |
|---|---|
| 堅忍不抜 (けんにんふばつ) | 揺さぶられても変わらない性質 |
| 不撓不屈 (ふとうふくつ) | 困難にたわまず屈しない姿勢 |
英語表現
stand firm
足場を動かさずに立ち続けるという言い方で、圧力を受けても立場を変えない様子に合う表現。
She stood firm through years of criticism.
(彼女は長年の批判のなかで堅忍不抜を貫きました。)
「抜けない」という言い方
「不抜」は、根や杭が引き抜かれないという物のたとえから来ています。
同じ発想の語に「確乎不抜」があり、こちらも意志が動かない様子を指します。
反対に、根を抜く動きを表すのが「抜本」で、災いのもとを断つ「抜本塞源」に使われます。
抜けないことを人の意志に、抜くことを問題の処理に割り振る使い分けが、漢語のなかで定着しています。









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