意味
「なし崩し」とは、借りたものや物事を、少しずつ片づけて終わらせることという意味です。「なし崩しに」「なし崩し的に」の形で、物事の進み方を表す言葉として使われます。物事を少しずつ変化させて、うやむやにしてしまうという使い方もあります。
- 済す(なす):借りた金品を返すこと。
- 崩す(くずす):まとまりを小さく分けること。
語源・由来
「済し崩し」は、借りた金品を返す「済す」と、まとまりを小さく分ける「崩す」を重ねた言い方です。
借金を少しずつ返していくこと、物事を少しずつかたづけていくこと、物事を少しずつ変化させてうやむやにしてしまうことの三つの使い方があります。
使い方・例文
「なし崩し」は、物事が少しずつ片づいたり変わったりする様子を表す場面で使われます。
- 借りた十万円はなし崩しに返した。
- 例外がひとつ認められ、規則はなし崩しになった。
- 議論のないまま、新制度へなし崩し的に移った。
「なかったことにする」との違い
文化庁「国語に関する世論調査」(平成29年度)では、「借金をなし崩しにする」を「少しずつ返していくこと」の意味で使う人が19.5パーセント、「なかったことにすること」の意味で使う人が65.6パーセントでした。
うやむやにするという使い方そのものは、「なし崩し」の意味の一つです。
ただし「少しずつ変化させて」という条件が付いており、はじめからなかったことにする、という意味ではありません。
借金について「なし崩しにする」と言えば、本来は返済していることになります。
同じように受け取られ方が動いている言葉は、誤用されがちな ことわざ、四字熟語、慣用句にもまとめています。
類義語・関連語
「なし崩し」と同じく、はっきりしないまま物事が動く様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 有耶無耶(うやむや):
物事がどうなのかはっきりしないこと。 - なあなあ:
相手と適当に折り合いをつけて、いい加減に済ませること。
「なし崩し」と「有耶無耶」の違い
どちらもはっきりしないまま事が運ぶ様子を表しますが、物事が動くかどうかが違います。
「なし崩し」は少しずつでも進んでいくこと、「有耶無耶」は決まらないまま宙に浮くことを指します。
| 語句 | 物事の進み方 | 使う場面 |
|---|---|---|
| なし崩し (なしくずし) | 少しずつ進む | 気づけば変わっていたとき |
| 有耶無耶 (うやむや) | 決まらないまま止まる | 結末がつかないとき |
英語表現
little by little
少しずつ進んでいくことを表す言い方。
The rule was changed little by little.
(規則はなし崩しに変えられた。)
in installments
金額を分けて少しずつ支払うことを表すフレーズ。
He paid back the loan in installments.
(彼は借金をなし崩しに返した。)
「崩す」が表す小分け
「崩す」には、形のあるものをこわすという意味のほかに、まとまりを小さく分ける使い方があります。
「一万円札を崩す」と言えば同額の小銭にかえること、「字を崩して書く」と言えば字画を省いて行書や草書で書くことを指します。
「済し崩し」に近い言い方には「小刻み」「小出し」があります。
まとまった一つを、そのままの形では扱わないという点が共通しています。









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