意味
「目を皿にする(めをさらにする)」は、見開いた目の形を、丸くて平たい皿に見立てた言い方です。
落とし物や小さな文字を探すときのように、見落とすまいとして目を大きく開く様子を表します。
思いがけないものを見て驚いたときのしぐさにも使われます。
- 目(め):ものを見る器官。
- 皿(さら):食べ物を盛る、浅くて平たい器。
語源・由来
「目を皿にする」は、大きく見開いた目の丸さを、皿の形にたとえたところから生まれた言い方です。
物を探し求めたり、じっと見て細かく見分けたり、驚いたりしたときのしぐさを指します。
江戸時代の滑稽本『東海道中膝栗毛』(1802〜09年)に「両替やは目を皿になして天秤を打ならし」という一節が出てきます。
「目を皿のようにする」という形でも使われます。
たとえの中身は同じで、皿に「のように」を挟むかどうかの違いです。
使い方・例文
「目を皿にする」は、小さなものを見落とすまいと探す場面や、思いがけない光景に驚いた場面で使われます。
- 契約書の細かい字を、担当者は目を皿にして読み込んだ。
- 母は虫がついていないか目を皿にして野菜を洗っている。
- 落とした指輪を探して、床の隅まで目を皿にして見た。
類義語・関連語
「目を皿にする」と同じように、目つきで気持ちや構えを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 目を見張る(めをみはる):
驚きや感嘆のあまり、目を大きく見開くこと。 - 鵜の目鷹の目(うのめたかのめ):
鋭い目つきで、熱心に探し物や他人の欠点を見つけ出そうとする様子。 - 蚤取り眼(のみとりまなこ):
どんなものも見落とすまいとする真剣な目つき。 - 目が点になる(めがてんになる):
あまりの意外さに驚いて、あっけにとられること。
「目を皿にする」と「蚤取り眼」の違い
どちらも見落とすまいとして目を凝らす様子を表し、意味の方向がよく似ています。
「目を皿にする」は目を大きく見開く形に重きがあり、「蚤取り眼」は真剣に探し回る目つきそのものを言い表します。
| 語句 | 重きを置く点 | きっかけ |
|---|---|---|
| 目を皿にする | 目を大きく見開く形 | 探すとき、驚いたとき |
| 蚤取り眼 | 見落とすまいとする目つき | 探し物をするとき |
英語表現
keep one’s eyes peeled
見落とさないように気を張って見ていることを表す言い方。
Please keep your eyes peeled for a red suitcase.
(赤いスーツケースを見落とさないように見ていてください。)
eyes like saucers
驚いて目を大きく見開いた様子を、受け皿の丸さにたとえた表現。
The children had eyes like saucers when the cake came out.
(ケーキが出てくると、子どもたちは目を丸くしました。)
『膝栗毛』の「目を皿にする」は大坂の夜店の両替屋
「目を皿にする」の古い例は、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』八編の大坂の場面にあります。
弥次郎兵衛と北八が借り着で新町へ遊びに出かける途中、夜店でにぎわう順慶町を通ります。
店先のにぎわいを並べた一節に、次のくだりがあります。
両替屋は目を皿になして天秤を打ちならし、金物屋は口を剃刀にひとしく、切物を商ひ
(両替屋は目を皿のように見開いて天秤を鳴らし、金物屋は剃刀のように鋭い口ぶりで刃物を売っている。)
江戸時代の銀貨は取引のたびに重さを量ったので、両替屋は持ち込まれた銀を天秤にかけて確かめていました。
ここでの「目を皿にする」は驚く顔ではなく、目方を見落とすまいと天秤を見つめる目つきです。










コメント