意味
「一宿一飯」とは、旅の途中などで、ひと晩の寝床と一度の食事にありつくことをいいます。
通りがかりに世話になることを指し、単独で使われることは少なく、「一宿一飯の恩義」という形で、わずかな世話を受けたことへの義理を語るときに持ち出されます。
- 一宿(いっしゅく):一晩泊まること。
- 一飯(いっぱん):一度の食事。
語源・由来
「一宿一飯」は特定の書物の故事から生まれた言葉ではなく、旅人が受ける最小限のもてなしを四字に並べた言い方です。
この言葉は、もともと博徒などが用いた語です。
博徒の間の仁義では、一宿一飯の恩義は生涯の恩義とされていました。
使い方・例文
「一宿一飯」は、旅先や困ったときに受けた世話への義理を口にする場面で使われます。
- 泊めてもらった一宿一飯の恩義は、今も忘れずにいる。
- 転がり込んだ先への一宿一飯の恩義は、必ず返すつもりだ。
- あの晩の一宿一飯がなければ、旅を続けられなかった。
小説に出てくる「一宿一飯」
『東京八景』(太宰治)
受けた世話への義理を重荷に感じる気持ちが語られている一節です。
一宿一飯の恩義などという固苦しい道徳に悪くこだわって、やり切れなくなり
類義語・関連語
「一宿一飯」と同じように、旅先でのふれあいや受けた恩をめぐる言葉には以下のようなものがあります。
- 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん):
道で袖が触れ合う程度の関わりも、前世からの縁によるということ。 - 旅は道連れ世は情け(たびはみちづれよはなさけ):
旅には連れがあるとよく、世の中は思いやりが大切だということ。 - 恩を仇で返す(おんをあだでかえす):
世話になった相手に、かえって害を与えること。
旅人に宿と食事を出した家
有力な農民の家では、旅の職人や芸人、流浪の人々に一宿一飯をふるまうことがしばしばありました。
見知らぬ相手をもてなす習わしは、婚礼や法事の場にも及んでいました。
1648年(慶安元年)には、江戸で町触が出されています。
町人の祝言などの場に来て物を求める者はなぐって番所へ届けよ、という内容です。
わざわざこう命じたのは、集まった見知らぬ者に酒や食事を出す例がありふれていたからだとみられます。









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