意味
「一擲千金」とは、ためらわず一度に大金を投げ出す、思い切りのよいふるまいを指す言葉です。
「擲」は投げ出すという意味の字で、金額を勘定するのではなく、まとめて放り出すような使い方を表しています。
- 一擲(いってき):ひと思いに投げ出すこと。
- 千金(せんきん):非常に多くのお金。大金。
語源・由来
「一擲千金」は、唐の詩に出てくる言い方をもとにした四字熟語です。
もとになったのは呉象之の「少年行」という詩です。
「全唐詩」に収められたこの詩には「一擲千金渾是膽」という句があり、千金を一度に投げ出すのはひとえに度胸によるものだ、という意味になります。
「少年行」は若者のふるまいを詠む題で、この詩は続けて、家に壁もないような暮らしぶりでも貧しさを気にかけない姿を描いています。
日本語の文章では、福沢諭吉の「西洋事情」(1866〜70年)に出てきます。
「有功の者を賞するには一擲千金も亦た惜む所なし」という一節で、手柄を立てた者をたたえるためなら大金も惜しまない、という文脈で使われています。
使い方・例文
「一擲千金」は、金額の大きさよりも、思い切りのよい使いっぷりに目を向けるときに使われます。
- あの社長は競売の場で一擲千金のふるまいを見せた。
- 一夜で一擲千金の遊びをしたと語り草になっている。
- 新しい事業の立ち上げに、一擲千金の覚悟で臨んだ。
類義語・関連語
「一擲千金」と同じように、大金の動きや使いっぷりを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 湯水のごとく使う(ゆみずのごとくつかう):
金銭を惜しまず、次々に使うこと。 - 一攫千金(いっかくせんきん):
骨を折らずに、一度に大きな利益を手に入れること。 - 一刻千金(いっこくせんきん):
わずかな時間が千金に値するほど貴重だということ。
「一擲千金」と「一攫千金」の違い
読みも字面もよく似ているうえ、どちらも大金が動くため取り違えられがちです。
分かれ目はお金の向きで、「一擲千金」は手元から出ていく側、「一攫千金」は手元に入ってくる側を表します。
| 語句 | お金の向き | 言い表すもの |
|---|---|---|
| 一擲千金 (いってきせんきん) | 出ていく | 惜しまず使い切るふるまい |
| 一攫千金 (いっかくせんきん) | 入ってくる | 労せず大金を得ること |
英語表現
splash out
必要というより楽しみのために、大きな金額をぱっと使うことを表す言い方。
They splashed out three thousand pounds on a holiday.
(彼らは休暇に三千ポンドをぱっと使いました。)
唐の詩に見える、一度に投げ出す大金
「一擲千金」は、唐の詩人呉象之の「少年行」にある「一擲千金渾是胆」という句に由来します。
大金を一度にすべて投げ出すのはひとえに度胸のなせるわざだ、という意味の句で、思い切りのよい金の使い方を詠んでいます。
同じ「千金」を使った言葉でも、「一字千金」は呂不韋が一字直せば千金を与えると言った故事、「一諾千金」は季布の故事に由来し、いずれも千金と釣り合うだけの価値を語るのに対し、「一擲千金」では千金そのものが惜しみなく投げ出される側に置かれています。









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