意味
「先憂後楽」は、「先」と「後」、「憂」と「楽」という向かい合う字を二つずつ組み合わせた四字熟語です。
世の中の心配ごとは人より先に引き受け、楽しみは人より後にまわすという心がまえを表します。
古くは政治家や忠臣の心がまえとして使われ、現在では人の上に立つ者の心がまえとしても使われます。
- 先憂(せんゆう):人より先に心配すること。
- 後楽(こうらく):人より後に楽しむこと。
語源・由来
「先憂後楽」は、北宋の政治家である范仲淹が書いた「岳陽楼記」の一節から生まれました。
原文は「先天下之憂而憂、後天下之楽而楽」で、「天下の憂えに先んじて憂え、天下の楽しみに後れて楽しむ」と読み下します。
世の中の人がまだ心配していないうちから心配し、世の中の人が楽しみ終えてから楽しむ、という意味です。
范仲淹は北宋の忠臣として知られ、『宋史』にも范仲淹伝が立てられています。
使い方・例文
「先憂後楽」は、人を率いる立場の人の心がまえを述べる場面で使われます。
- 新社長は先憂後楽を掲げ、まず現場を回った。
- 先憂後楽というが、部長は真っ先に帰ってしまう。
- 監督の先憂後楽の姿勢が、選手たちにも伝わった。
類義語・関連語
「先憂後楽」と同じように、自分より人を先に立てる態度を表す言葉には以下のようなものがあります。
「先憂後楽」と「率先垂範」の違い
どちらも人の上に立つ者の態度を表しますが、目を向けている先が違います。
「先憂後楽」は苦労と楽しみの順番のことをいい、「率先垂範」は自分が先に動いて手本を見せることをいいます。
| 語句 | 示すもの | 行いの中身 |
|---|---|---|
| 先憂後楽 (せんゆうこうらく) | 苦労と楽しみの順番 | 人より先に心配し、後で楽しむ |
| 率先垂範 (そっせんすいはん) | 手本の示し方 | 自分が先に動いて見せる |
英語表現
put others first
自分より他の人を大切に扱うことを表す表現。
She all too often puts others first and never stops to think of herself.
(彼女はあまりにも人を優先しすぎて、自分のことを考える暇がありません。)
後楽園という庭園の名前
東京の小石川後楽園と岡山の後楽園は、どちらもこの言葉から名づけられた庭園です。
二つの名称は、ともに「岳陽楼記」の「先天下之憂而憂、後天下之楽而楽」から取られたとされます。
小石川後楽園は、水戸藩の徳川頼房が1629年に築造を始め、二代の光圀が明の遺臣である朱舜水の意見を取り入れて仕上げました。
岡山の後楽園はもと「御後園」と呼ばれており、明治四年(1871年)に「先憂後楽」の語にちなんで今の名に改められたとされます。









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