意味
「七生報国(しちしょうほうこく)」とは、たとえ命を落として何度生まれ変わったとしても、国のために尽くし続けるという固い覚悟を意味します。
個人の生死を超えて、国への忠誠を貫こうとする強い決意を表す言葉です。
- 七生(しちしょう):七度、人として生まれ変わること。
- 報国(ほうこく):国から受けた恩に報いること。
語源・由来
「七生報国」は、南北朝時代の武将・楠木正成にまつわる故事に由来するとされています。
軍記物語『太平記』によれば、湊川の戦いで敗れた正成の弟・正季は、刺し違える直前に「七生まで只同じ人間に生れて、朝敵を滅さばや」と言い、七度生まれ変わっても朝敵を滅ぼしたいと述べました。
正成も「罪業深き悪念なれ共我も加様に思ふ也」と応じて同意し、兄弟で刺し違えたと描かれています。
この故事が「七生報国」という四字熟語として広まり、後の時代にも語り継がれていきました。
使い方・例文
「七生報国」は、歴史上の人物の覚悟や、国への献身を伝える文脈で使われる言葉です。
- 楠木正成の七生報国の精神は、後世に語り継がれている。
- 『太平記』には、七生報国を誓った武将の最期が描かれている。
- 特攻隊員の鉢巻には、七生報国の文字が記されていた。
類義語・関連語
「七生報国」と同様に、身命を賭して国や公のために尽くす姿勢を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 滅私奉公(めっしほうこう):
私心を捨てて、公のために尽くすこと。 - 精忠報国(せいちゅうほうこく):
私心のない忠誠を尽くして国に報いること。
四字の「七生報国」は日露戦争の広瀬武夫の詩に
『太平記』で楠木正季が口にしたのは「七生まで」という言葉で、「七生報国」の四字はまだありません。
幕末には吉田松陰が、この兄弟の誓いを題材に「七生説」(1856年)を書いています。
四字の形の古い例は、日露戦争中の1904年に海軍軍人の広瀬武夫が書き残した漢詩です。
詩は「七生報国 一死心堅 再期成功 含笑上船」の四句です。
七たび生まれて国に報いる、死ぬ覚悟は固い、成功を期して笑って船に乗る、という意味です。
広瀬は旅順港の入口を船でふさぐ作戦で戦死し、「軍神」とたたえられました。
『太平記』で正季が口にした「七生まで」の誓いが、「七生報国」の四字で書き表された古い例です。











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