意味
「挨拶より円札(あいさつよりえんさつ)」とは、ていねいなお礼の言葉をもらうより、お金を渡されるほうがうれしいという意味です。
「円札」は円を単位とする紙幣の古い呼び方で、礼儀よりも実利を取る本音や下心を、皮肉や冗談を込めて言うときに使われます。
語源・由来
「挨拶より円札」は、「挨拶」の「拶」と「円札」の「札」の音をかけた、洒落から生まれたことわざです。
どちらも「さつ」と読む音を利用し、丁寧な言葉より金銭のほうが実際にはありがたいという本音を、語呂の面白さとともに伝えています。
円という貨幣単位は、明治4年(1871年)の新貨条例によって定められたもので、円札(円建ての紙幣)という言葉自体、この新しい単位が生まれてから使われるようになったものです。
使い方・例文
- 丁寧な礼状より、正直挨拶より円札だと思ってしまう。
- お世話になった礼は、挨拶より円札とばかりに現金で渡した。
類義語・関連語
「挨拶より円札」と同様に、言葉よりも実利を重んじることを表す言葉には、次のようなものがあります。
- 花より団子(はなよりだんご):
見た目の風流よりも、実利を取ることのたとえ。 - 思し召しより米の飯(おぼしめしよりこめのめし):
好意の言葉よりも、実際の援助のほうがありがたいということ。「召し」と「飯」の音をかけた洒落である点も共通しています。
「挨拶より円札」と類義語の違い
三つとも見せかけより実利を取ることを表しますが、対比される相手が異なります。
「挨拶より円札」は言葉の礼と金銭を、「花より団子」は風流な眺めと実利全般を、「思し召しより米の飯」は好意の言葉と実際の援助を対比しています。
「円札」は、金札・銀札と区別するための呼び名だった
「挨拶より円札」の「円札」は、明治のはじめに、それまで出回っていた金札・銀札などの古い紙幣と区別して使われた呼び名です。
たとえば新政府が慶応4年(1868年)5月に発行した太政官札(= 明治政府が最初に出した紙幣)は、当時「金札」と呼ばれ、額面は十両・五両・一両・一分・一朱と、江戸時代と同じ単位で書かれていました。
「銀札」は、江戸時代に諸藩などが発行した紙幣で、匁や分を単位に額面を記していました。
円の時代になってからも両で数える太政官札はすぐには消えず、一両以下の札は明治11年(1878年)6月末まで通用しました。









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