意味
「断章取義」とは、詩や文章の一節を全体の流れから切り離し、その部分だけを自分に都合のよい意味に読み替えることを表す四字熟語です。
元の書き手の意図を無視した強引な引用や解釈に対して、非難の意味を込めて使われます。
- 断章(だんしょう):文章の一部分を切り出すこと。
- 取義(しゅぎ):その意味だけを取り上げること。
語源・由来
「断章取義」は、中国の古典『春秋左氏伝』の襄公二十八年に登場する言葉です。
春秋時代の中国では、外交や社交の場で『詩経』の詩の一部を引用して自分の考えを伝える「賦詩断章」という習慣があり、それぞれが都合のよい一節だけを取り上げて意味を汲み取っていたことに、この言葉は由来します。
使い方・例文
「断章取義」は、他人の発言や文章の一部だけを取り上げて、都合よく解釈したり非難したりする場面で使われます。
- 彼はインタビューの一部だけを切り取り、断章取義して記事を書いた。
- その演説の一文だけを取り上げるのは、明らかな断章取義だ。
- SNSの短い切り抜き動画は、断章取義を招きやすい。
類義語・関連語
「断章取義」と同じように、物事を自分に都合よく解釈することを表す言葉には、次のようなものがあります。
- 我田引水(がでんいんすい):
自分の利益になるように、物事を都合よく運ぶこと。 - 牽強付会(けんきょうふかい):
道理に合わないことを、無理にこじつけて理屈を通すこと。
「断章取義」と類義語の違い
三つとも自分に都合よく物事を解釈する点で共通しますが、対象と手口が異なります。「断章取義」は文章や発言の一部を切り取ることで、「我田引水」は物事全般を自分の利益に結びつけることで、「牽強付会」は筋の通らない理屈を無理やりこじつけることで、それぞれ都合のよい結論を導きます。
| 語句 | 手口 | 対象 |
|---|---|---|
| 断章取義 (だんしょうしゅぎ) | 一部分だけを切り取る | 文章・発言 |
| 我田引水 (がでんいんすい) | 自分の利益に結びつける | 物事全般 |
| 牽強付会 (けんきょうふかい) | 無理に理屈をこじつける | 道理・論理 |
英語表現
cherry-pick
都合のよい部分だけを選び取って示す言い方。
He cherry-picked a single line from the report to support his claim.
(彼は報告書の一文だけを都合よく切り取り、自分の主張を裏づけようとした。)
take out of context
発言や文章を、前後の流れを無視して都合よく引用する言い方。
The quote was taken out of context to make him look guilty.
(その発言は断章取義され、彼が悪いように見せられた。)
ダーウィンの「目」をめぐる一文
進化論を唱えたイギリスの博物学者チャールズ・ダーウィンは、著書『種の起源』(1859年)のなかで、目のような複雑な器官が自然選択だけで生まれるとは、最初は自分でも不合理に思えると書いています。
この一文だけを取り出し、ダーウィン自身が進化論を疑っていた証拠として引用する例が、現在も見られます。
しかし原文ではこの一文に続けて、どれほど不合理に見える器官でも段階を追えば自然選択で説明できるという主張が展開されており、一文だけを読むと意図が正反対に伝わってしまいます。
創造論を支持する立場の団体のなかにも、この引用の仕方は文脈を外していると指摘するところがあり、断章取義が言語や文化を問わず起こりうることを示す例になっています。










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