意味
「眼光炯々(がんこうけいけい)」とは、人を射抜くような鋭いまなざしを形容する四字熟語で、目に力強い光をたたえ、物事の本質を見抜くような迫力を漂わせているという意味です。
単に目つきが悪いという否定的な意味ではなく、迫力や洞察力を評価する場面で使われる点が特徴です。
- 眼光(がんこう):目の光。物事を見抜く力を指すこともある。
- 炯々(けいけい):きらきらと鋭く光り輝くさま。
語源・由来
「眼光炯々」は、目の光を表す「眼光」と、同じ字を重ねて鋭く光り輝く様子を強調する「炯々」を組み合わせた四字熟語です。
「炯」の字は火に関わる部首を持ち、明るく澄んだ輝きを示す漢字です。
使い方・例文
「眼光炯々」は、多くの場合「として」を伴って、人の鋭い目つきを形容する場面で使われます。
- 老師匠は眼光炯々として、弟子の一挙一動を見逃さなかった。
- 面接官の眼光炯々とした視線に、思わず背筋が伸びた。
『お伽草紙』(太宰治)
戦に出る武士のような迫力を、旦那の顔つきに重ねて描く場面で使われています。
お旦那は、出陣の武士の如く、眼光炯々、口をへの字型にぎゅっと引き結び、いかにしても今宵は、天晴れの舞いを一さし舞い、その鬼どもを感服せしめ、もし万一、感服せずば、この鉄扇にて皆殺しにしてやろう、たかが酒くらいの愚かな鬼ども、何程の事があろうや、と鬼に踊りを見せに行くのだか、鬼退治に行くのだか、何が何やら、ひどい意気込みで鉄扇右手に、肩いからして剣山の奥深く踏み入る。
類義語・関連語
「眼光炯々」と同じように、鋭い目つきを表す言葉に、次のようなものがあります。
- 虎視眈々(こしたんたん):
虎が獲物を狙うように、じっと機会をうかがう様子。
「眼光炯々」と「虎視眈々」の違い
どちらも鋭い目つきを表しますが、焦点が異なります。
「眼光炯々」は目の光そのものの鋭さや力強さを表すのに対し、「虎視眈々」は機会をじっとうかがう姿勢に重きを置いた言葉です。
| 語句 | 表す焦点 |
|---|---|
| 眼光炯々 (がんこうけいけい) | 目の光そのものの鋭さ |
| 虎視眈々 (こしたんたん) | 機会をうかがう姿勢 |
最古級の用例は1902年の史論『史疑』
「眼光炯々」という言い回しの実例をたどると、辞書が最古級の用例として挙げているのは、1902年に村岡素一郎が発表した史論『史疑』の一節です。
同書には「眼光烱々人を圧するの概を見る」という表現があり、人物の鋭い眼光を形容する言葉として使われています。
ここで使われている「烱々」は「炯々」の異体字で、どちらも「きらりと鋭く光り輝くさま」を表します。
「炯」の字自体に「あきらか」「光り輝く」という意味があり、これを重ねることで光の鋭さを強調しています。
この表現はその後、文学作品にも取り入れられていきます。
太宰治は『お伽草紙』の「瘤取り」で、出陣する武士の顔つきを「出陣の武士の如く、眼光炯々、口をへの字型にぎゆつと引き結び」と描写しており、鋭い眼光で気迫を示す人物描写の定番表現として定着していたことがうかがえます。









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