ことわざ

津波てんでんこ

(つなみてんでんこ)

津波の際は各自が一人でも高台へ逃げよという、三陸沿岸に伝わる防災の教え。


8文字の言葉 / 「つ・づ」から始まる言葉
津波てんでんこ ことば
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意味

「津波てんでんこ(つなみてんでんこ)」とは、津波が来たら、家族を探したり助け合ったりせず、各自が一人でも高台へ逃げよという、東北地方の三陸沿岸に伝わる防災の教えです。
一見薄情に見えますが、一人ひとりが自分の命を守り切ることこそが、結果として家族みんなの命を救うという考え方に基づいています。

  • てんでんこ:三陸地方の方言で「てんでんばらばらに」「各自」という意味。

語源・由来

「津波てんでんこ」は、明治や昭和の三陸地震で繰り返し津波の被害を受けてきた東北の沿岸地域で、住民の間に語り継がれてきた言葉です。
津波が来たときに、家族を探しに戻ったり、助けを待って留まったりしたために、多くの命が失われてきた歴史があります。
この教訓から、まず自分がすぐに高台へ逃げること、そして家族もそれぞれ自分の判断で逃げているはずだと信じることが、結果的に家族全員の命を守るという考え方が、この言葉に込められています。

使い方・例文

「津波てんでんこ」は、津波発生時の避難行動の心得として、防災教育や訓練の場面で使われます。

  • 学校の避難訓練で、津波てんでんこの考え方を子どもたちに教えている。
  • 「津波てんでんこ」を合言葉に、家族それぞれが避難場所を確認しておいた。

英語表現

every man for himself

直訳は「各自が自分のために」で、緊急時に各自が自分の身を守るべきだという意味の言い回し。
ただし英語では利己的な響きを伴うことが多く、「津波てんでんこ」が持つ相互の信頼という側面までは表せない表現。

In an emergency like this, it’s every man for himself.
(このような緊急事態では、各自が自分の身を守るしかない。)

「津波てんでんこ」の教えと、釜石市鵜住居地区の小中学生の避難

東日本大震災の前、岩手県釜石市が進めていた津波防災教育の基本は、三陸の言い伝えである「津波てんでんこ」の精神でした。
子どもたちは避難所マップづくりや避難訓練で一人でも避難できる知識を学び、いざというときにそれぞれ避難できるよう、避難場所や待ち合わせ場所を家族と話し合っていました。
2011年3月11日、鵜住居うのすまい地区の釜石東中学校では地震直後に生徒が校庭へ駆け出し、それを見た隣の鵜住居小学校の児童も、日ごろの合同訓練を思い出して自らの判断で後に続きました。
最初の避難先では、裏の崖が崩れるのを見た生徒が教師にもっと高い所へ逃げようと伝え、さらに高台へ移っています。
両校にいた児童・生徒約570人は全員無事に避難でき、この出来事は「釜石の奇跡」と呼ばれています。

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