意味
「間髪を入れず(かんはつをいれず)」とは、間に髪の毛一本すら入るすきまが無いほど、次の動作や反応までの時間が短いという意味です。
緊迫した場面や、即座の対応が求められる場面で使われることの多い表現です。
本来は「間(かん)、髪(はつ)を入れず」と区切って読みます。
- 間(かん):物と物のあいだの、わずかなすきま。
- 髪(はつ):かみの毛一本。
語源・由来
この言葉は、前漢の文人・枚乗が呉王に宛てた上奏文に由来します。
呉王が謀反を企てていることを知った枚乗は、思いとどまるよう説く文章の中で、事態がいかに切迫しているかを「間、髪を容れず」という一句で表しました。
この句は劉向の編んだ『説苑』に収められ、後に南朝梁の詩文集『文選』(530年ごろ)にも収録されています。
間に髪の毛一本すら差し込む余地が無いというたとえで、危機が迫っている様子や、時間の隔たりが無いことを表す言葉として定着しました。
使い方・例文
- 審判の笛が鳴った瞬間、選手たちは間髪を入れずに動き出した。
- 質問が終わるか終わらないかのうちに、彼は間髪を入れず言い返した。
誤用・注意点
文化庁の令和5年度「国語に関する世論調査」では、意味ではなく読み方が尋ねられました。
「間髪(かんぱつ)を入れず」と続けて読むと答えた人が91.0パーセントだったのに対し、本来の「間(かん)、髪(はつ)を入れず」と区切って読むと答えた人はわずか6.5パーセントでした。
「間髪」を一つの熟語のように「かんぱつ」と読む言い方がすっかり定着しており、本来の区切った読み方はほとんど知られていない実態がうかがえます。
類義語・関連語
この言葉と同じように、時間を置かない速さを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 一瞬(いっしゅん):
瞬きするほどの、きわめて短い時間。 - 即座に(そくざに):
遅れることなく、すぐさま対応する様子。
「間髪を入れず」と類義語の違い
どれも時間を置かない速さを表しますが、緊迫した場面での反応の速さを言うか、時間の短さや対応の速さそのものを言うかで分かれます。
| 語句 | ニュアンス |
|---|---|
| 間髪を入れず | すきまが無いほど即座で、緊迫感を伴う |
| 一瞬 (いっしゅん) | 時間の短さそのものを指す名詞 |
| 即座に (そくざに) | 間を置かない対応の速さを表す、日常的な言い方 |
英語表現
英語では、次のような言い方でこの速さを表します。
without a moment’s delay
一瞬の遅れもなく、すぐさま行動する様子を表す言い方。
She responded without a moment’s delay.
(彼女は間髪を入れずに答えました。)
in a heartbeat
心臓が一つ打つほどの、ごく短い時間で何かをする様子を表す言い方。
He would say yes in a heartbeat.
(彼なら間髪を入れずに承知するでしょう。)
「間髪を入れず」と「間髪を容れず」、2つの表記
この言葉は「間髪を入れず」のほかに、「間髪を容れず」と書かれることもあります。
由来となった「間不容髪」の「容」は、受け入れる、収めるという意味の字で、「容れず」のほうが原典に近い表記です。
ただし「容」を「いれる」と読むのは常用漢字表に無い読み方で、新聞や一般的な文章では「入れず」の表記が広く使われています。
どちらも誤りとはされていません。









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