意味
「筆が立つ(ふでがたつ)」とは、文章を書く力量がすぐれているという意味です。
「筆が立つ人」のように、書き手自身の実力を表すときによく使われます。
語源・由来
この言葉は、「筆」と「立つ」という二つの言葉からできています。
「筆」は文字や文章を書く道具を指し、転じて文章そのものや文章を書く能力を意味します。
「立つ」には、腕が立つ、弁が立つのように、ある働きがすぐれている、際立つという意味があり、この二つが結びついて、文章を書く技量がすぐれていることを表すようになりました。
使い方・例文
- 新人なのに驚くほど筆が立つので、部長も原稿を任せている。
- 彼は理系出身だが、意外にも筆が立つので随筆の連載を頼まれた。
- 祖母は若いころから筆が立ち、手紙の文章がいつも美しいと評判だ。
類義語・関連語
「筆が立つ」は、文章を書く技量がすぐれていることを表す点で、次の語と意味が近くなります。
- 能文(のうぶん):
文章に巧みなこと。また、その巧みな文章。 - 健筆(けんぴつ):
文章や詩歌などを、巧みにどんどん書くこと。
「筆が立つ」と類義語の違い
能文と健筆は、どちらも文章の技量がすぐれていることを表す点で「筆が立つ」と共通します。
ただし健筆には、文字そのものを巧みに書く、達筆であるという意味も含まれる点が異なります。
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 能文 (のうぶん) | 文章に巧みなこと、またその巧みな文章 |
| 健筆 (けんぴつ) | 文章を巧みにどんどん書くこと、また達筆であること |
石川啄木『病院の窓』に出てくる「筆の立つ男」
石川啄木が1908年に書いた小説『病院の窓』は、釧路の新聞社で働く記者の野村を描いた作品です。
野村の同僚で、編集主任として新しく来た竹山は、次のように書かれています。
一段二段の長い記事を字一つ消すでなく、スラスラと淀みなく綺麗な原稿を書くので、文選小僧が先づ一番先に竹山を讃めた。社長が珍重してるだけに恐ろしく筆の立つ男で、野村もそれを認めぬではないが、年が上な故か怎しても心から竹山に服する気にはなれぬ。
(石川啄木『病院の窓』1908年)
長い記事を書き直しなしで一気に書き上げる竹山の腕前を、「恐ろしく筆の立つ」と言い表しています。


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