「嘘」に関することわざ・慣用句・故事成語・四字熟語一覧

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「嘘」に関することわざ・慣用句・故事成語・四字熟語一覧 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

人間関係において「正直」であることは尊い美徳ですが、現実の社会生活では、本音を隠したり、場を収めるために事実を曲げたりすることは避けられない場面もあります。
時に自分を守る鎧となり、時に信頼を崩す蟻の一穴ともなる「嘘」

この言葉にまつわる先人たちの言葉には、人間の弱さ、狡猾さ、そして処世の知恵が凝縮されています。
ここでは、「嘘」や「ごまかし」に関連することわざ、慣用句、故事成語を、その性質やシチュエーション別に整理して紹介します。

日常の「ごまかし」と「隠蔽」

悪意があるわけではないが、自分を守るために事実を隠したり、少しだけ数字を操作したりする。
日常でついやってしまいがちな「小さな嘘」にまつわる慣用句です。

鯖を読む(さばをよむ)

自分の都合のいいように、数をごまかすこと。
特に年齢や体重などを、実際より若く、あるいは軽く言う場合によく使われます。
魚市場で、傷みやすい鯖を早口で数えて実際の数をごまかしたことに由来すると言われています。

お茶を濁す(おちゃをにごす)

いい加減なことを言ったりしたりして、その場を一時的に取り繕うこと。
お茶の作法を知らない者が、適当にかき混ぜて濁らせ、それらしく見せたことに由来します。
根本的な解決から逃げ、表面だけ整えるごまかしを指します。

狸寝入り(たぬきねいり)

都合が悪くなった時などに、わざと眠ったふりをすること。
狸は驚くと仮死状態(気絶)になり、あたかも死んだふりや寝たふりをしているように見える習性があることにちなみます。「空寝(そらね)」とも言います。

猫を被る(ねこをかぶる)

本性を隠して、おとなしそうに見せかけること。
「知っているのに知らないふりをする」という意味でも使われます。
猫が普段は静かで可愛らしい様子をしていることに例えたとする説や、筵(むしろ=「ねこ」と呼ばれる)を被って隠れる様子に由来する説などがあります。

虚勢・大げさ・不誠実

自分を大きく見せようとする見栄や、相手を騙そうとする悪意が含まれる態度を表す言葉です。

大風呂敷を広げる(おおぶろしきをひろげる)

実現できそうもない大げさな計画や話、大嘘を言うこと。
大きな風呂敷は何でも包めるように見えますが、中身が伴っていないことから、実質の伴わない大きな話をすることのたとえとなりました。

法螺を吹く(ほらをふく)

物事を大げさに言うこと。でたらめを言うこと。
山伏が合図に使う法螺貝(ほらがい)の音が、大きく遠くまで響き渡ることから、話を大きく盛る様子に例えられました。

二枚舌を使う(にまいじたをつかう)

一つの口に二つの舌があるかのように、相手や場所によって矛盾したことを言うこと。
嘘つきの代名詞的な表現です。
仏教では「両舌(りょうぜつ)」と言い、仲違いさせるような嘘として戒められています。

巧言令色(こうげんれいしょく)

言葉を巧みに飾り、顔色を和らげて愛想よく振る舞うこと。
心に誠実さがなく、他人に媚びへつらう様子を批判する言葉です。
「巧言令色鮮(すくな)し仁(じん)」と続き、そのような人には仁徳が欠けているとされます。

嘘の報い・見抜く

嘘はいずれバレるものであり、重ねれば身を滅ぼすという警告や、嘘に対する疑いの眼差しを表す言葉です。

嘘つきは泥棒の始まり

平気で嘘をつくようになると、悪事に対する抵抗感が薄れ、やがては盗みも働くようになるという教訓。
小さな嘘を軽視してはいけないという、子供への戒めとしてよく使われます。

嘘から出た実(うそからでたまこと)

嘘のつもりで言ったことが、偶然にも事実になってしまうこと。
本来は「瓢箪から駒」と同様に、冗談が本当になるという「意外性」を表す言葉ですが、結果的に良かったという文脈で使われることもあります。

語るに落ちる(かたるにおちる)

問いつめられて白状するのではなく、何気なく話しているうちに、うっかり真実を漏らしてしまうこと。「問うに落ちず語るに落ちる」の略で、自分からボロを出してしまう状況を指します。

化けの皮が剥がれる(ばけのかわがはがれる)

隠していた本性や悪事が露見すること。
狐や狸が人間に化けるという俗信から、その変装(化けの皮)が剥がれて正体が現れることに例えています。

頭隠して尻隠さず(あたまかくしてしりかくさず)

悪事や欠点を隠そうとしても、一部が見えていて隠しきれていないことのたとえ。
キジが草むらに隠れる際、頭だけ隠して尾が丸見えになっている様子から来ています。詰めが甘い隠蔽を笑う言葉です。

眉唾物(まゆつばもの)

真偽が疑わしいもの。騙される心配があるもの。
狐や狸に化かされないよう、眉に唾をつけると良いという俗信から、疑ってかかるべき対象を指すようになりました。

嘘に関連する四字熟語・故事成語

中国の歴史や故事に由来する表現です。
規模の大きな欺瞞や、政治的・社会的な文脈での「嘘」を指す際によく用いられます。

羊頭狗肉(ようとうくにく)

看板には上等な羊の頭を掲げておきながら、実際には安い犬の肉を売ること。
見かけや宣伝ばかりが立派で、中身が伴っていないことのたとえです。
「看板倒れ」や「誇大広告」に近い意味を持ちます。

指鹿為馬(しろくいば)

鹿を指して馬だと言い張り、自分の権勢でそれを押し通すこと。
明らかな間違いや嘘を、力ずくで認めさせる横暴さを表します。
秦の始皇帝の死後、権力を握った趙高(ちょうこう)が、謀反の意志がある家臣を見分けるために行ったテストに由来します。

朝三暮四(ちょうさんぼし)

目先の違いに気を取られ、結果が同じであることに気づかないこと。また、言葉巧みに人を騙すこと。
猿にトチの実を与える際、「朝3つ暮4つ」と言うと怒り、「朝4つ暮3つ」と言うと喜んだという故事から来ています。

荒唐無稽(こうとうむけい)

言うことに根拠がなく、現実離れしていてデタラメなこと。
「荒唐」は広すぎてとりとめがないこと、「無稽」は根拠がないことを意味します。

針小棒大(しんしょうぼうだい)

針のように小さなことを、棒のように大きく言うこと。物事を大げさに誇張して話すさまを表します。

処世術としての嘘

嘘を単なる悪とせず、戦略や知恵として捉える言葉です。

嘘も方便(うそもほうべん)

嘘をつくことは本来悪いことですが、物事をスムーズに運んだり、より良い結果を導いたりするためには、時には嘘が必要な場合もあるということ。
仏教の教えに由来し、衆生を救うための手段としての嘘を指します。

虚虚実実(きょきょじつじつ)

互いに計略を巡らし、相手の隙を突いて戦うこと。
「虚(嘘や偽り)」と「実(真実や誠)」を巧みに織り交ぜて、相手を翻弄する高度な駆け引きを指します。

英語表現

「嘘」に関する英語のことわざや表現を紹介します。

A white lie

  • 意味:「罪のない嘘」
  • 解説:相手を傷つけないための嘘や、社交辞令のような悪意のない嘘を指します。
    嘘も方便」に近いニュアンスで使われます。
  • 例文:
    It was just a white lie to protect her feelings.
    (それは彼女の気持ちを守るための、たわいない嘘でした。)

Liar, liar, pants on fire

  • 意味:「うそつき、うそつき、パンツが燃えてるぞ」
  • 解説:子供が嘘つきをはやし立てる時に使う、リズムの良い決まり文句です。

Wolf in sheep’s clothing

  • 意味:「羊の皮を被った狼」
  • 解説:親切そうに見えて、実は悪意を持っている人物のこと。
    聖書に由来する表現で、日本語の「猫を被る」や「羊頭狗肉」と似た側面がありますが、より危険な悪意を含みます。

嘘にまつわるエピソード

「狼少年」が教える教訓の真意

イソップ寓話の『嘘をつく子供(狼少年)』は、嘘に関する最も有名な物語の一つです。
「狼が来た」と嘘をついて大人たちを驚かせていた少年は、本当に狼が現れた時に誰にも信じてもらえず、羊を食べられてしまいます。
この物語は「嘘をついてはいけない」という道徳的な教訓として語られますが、もう一つ、「普段の行いが信頼を作る」という社会のルールも描いています。
「嘘つきは泥棒の始まり」と同様、一度失った信頼を取り戻すコストの高さを説いています。

エイプリルフール(四月馬鹿)の背景

4月1日には「嘘をついても良い」とされるエイプリルフールですが、その起源は定かではありません。
有力な説の一つに、16世紀のフランスで新年が1月1日に変更された際、それに反発した人々が4月1日を「嘘の新年」として馬鹿騒ぎしたことが始まりというものがあります。
現代では、企業が手の込んだジョーク商品を発表するなど、ユーモアのある嘘を楽しむイベントとして定着していますが、人を傷つけない「粋な嘘」であることがマナーとされています。

まとめ

「嘘」に関連する言葉を見ていくと、単に「悪いこと」として断じるだけでなく、人間関係の潤滑油としての機能や、人間の弱さ、儚さを表す表現が多いことに気づかされます。

「嘘も方便」という言葉がある一方で、「天網恢恢疎にして漏らさず」という厳しい戒めもあります。
この二つは、「時と場合、そして目的」によって嘘の性質が変わるという真理を表していると言えるでしょう。
言葉の背景にある先人の洞察を知ることで、複雑な人間関係を生き抜くヒントが得られるかもしれません。

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