「SDGs(持続可能な開発目標)」は、環境保護、貧困の撲滅、ジェンダー平等、質の高い教育、平和など、持続可能な未来を目指す広範な国際目標です。
これらは現代的な課題ですが、その根底にある「共生」「平等」「持続性」「相互扶助」といった精神は、古くから日本のことわざや四字熟語の中にも息づいています。
「SDGs」に関連する言葉
「SDGs」というテーマに関連する、主なことわざや慣用句、四字熟語などを紹介します。
ことわざ
- 相身互い(あいみたがい)
お互い様である、困ったときは助け合うべきであるということ。相互扶助の精神を表す。 - 持ちつ持たれつ(もちつもたれつ)
互いに助けたり助けられたりする、相互扶助の関係。SDGsの「パートナーシップ」にも通じる。 - 情けは人の為ならず(なさけはひとのためならず)
人に親切にすれば、巡り巡って自分に良い報いが来る。相互扶助と持続可能な社会の循環を示す。 - 三人寄れば文殊の知恵(さんにんよればもんじゅのちえ)
凡人でも三人集まって相談すれば、良い知恵が浮かぶ。パートナーシップによる課題解決を示唆する。 - 明日は我が身(あすはわがみ)
他人の災難も、いつ自分に降りかかるか分からない。他者の困難を自分事として捉え、連帯する視点。 - 水清ければ魚棲まず(みずきよければうおすまず)
あまりに清廉すぎると、かえって人が寄り付かないというたとえ。多様性や寛容さの重要性を示唆する。 - 十人十色(じゅうにんといろ)
考え方や好みは人それぞれ異なること。多様性を認め、尊重する姿勢を表す。 - 立つ鳥跡を濁さず(たつとりあとをにごさず)
立ち去る者は、後が見苦しくないようにきれいに始末すべきという戒め。環境への配慮や責任ある消費・生産に通じる。 - 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる)
ごくわずかなものでも、積み重なれば大きなものになるというたとえ。一人ひとりの小さな行動の積み重ねが社会を変える力となる。 - 後の祭り(あとのまつり)
時機を逃して手遅れになること。気候変動対策など、今すぐ行動すべきという警鐘。 - 喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる)
苦しい経験も、過ぎ去ると忘れてしまう。災害や環境問題への継続的な意識と行動を促す戒め。 - 焼け石に水(やけいしにみず)
援助や努力が少なすぎて効果がないこと。不十分な対策への警告として。 - 花も実もある(はなもみもある)
外見の美しさ(花)と実質的な内容(実)の両方が備わっていること。経済成長と環境保護、形式と実質の両立を示す。 - 読み書き算盤(よみかきそろばん)
読み、書き、計算は、生きていく上での基礎的な学力であるということ。質の高い教育と基礎教育の重要性を表す。
慣用句
- 手を取り合う(てをとりあう)
互いに協力し合う、助け合うこと。SDGsの「パートナーシップで目標を達成しよう」を体現する表現。 - 心を一つにする(こころをひとつにする)
全員が同じ目的意識を持ち、団結すること。共通の目標に向けた協働を表す。 - 肩を並べる(かたをならべる)
対等な立場で張り合う、同等の力を持つこと。平等と公正を意識させる表現。 - 目を向ける(めをむける)
関心や注意を向けること。取り残されがちな問題や人々への意識を促す。 - 橋を架ける(はしをかける)
異なる立場や考えの間をつなぐこと。対話と協力による課題解決を表す。
四字熟語
- 共存共栄(きょうそんきょうえい)
二つ以上のものが、互いに助け合いながら共に栄えること。SDGsの基本精神そのもの。 - 相互扶助(そうごふじょ)
互いに助け合うこと。持続可能な社会の基盤となる考え方。 - 和衷協同(わちゅうきょうどう)
心を合わせ、互いに協力して物事を行うこと。 - 一視同仁(いっしどうじん)
すべての人を差別なく平等に愛すること。SDGsの「誰一人取り残さない」精神に直結する。 - 万物斉同(ばんぶつせいどう)
すべてのものは本質的に平等で差別がないとする荘子の思想。多様性の尊重と平等の理念。 - 公平無私(こうへいむし)
偏りがなく、私心を差し挟まないこと。公正で包摂的な社会の基盤。 - 天下泰平(てんかたいへい)
世の中が良く治まり、平和であること。SDGsが目指す「平和と公正」の理想像。
故事成語
- 温故知新(おんこちしん)
『論語』に由来。古いことを研究し、そこから新しい知識や道理を発見すること。伝統的な知恵を現代の課題解決に活かす視点。 - 呉越同舟(ごえつどうしゅう)
『孫子』に由来。敵対する者同士も、共通の危機や利益のためには協力するということ。地球規模の課題に対する国際協力を示唆する。 - 和而不同/和して同ぜず(わじふどう/わしてどうぜず)
『論語』に由来。人と協調はするが、安易に同調せず自分の考えを持つこと。多様性を尊重しつつ協力する姿勢。
仏教用語
- 依正不二(えしょうふに)
生命(正報)と、それを取り巻く環境(依報)は一体であり切り離せないという仏教思想。環境と人間は不可分であるという考え方。 - 一切衆生(いっさいしゅじょう)
この世に生きるすべての生命。人間だけでなく、動植物も含めた命の尊厳と平等性を示す。
その他の言葉
- もったいない
物の価値を十分に活かしきれず、無駄にすることを惜しむ日本独特の感覚。資源の有効活用、廃棄物削減、循環型社会の精神を体現する言葉として、国際的にも注目されている。 - お陰様(おかげさま)
他者からの助けや配慮によって恩恵を受けることへの感謝。人と人、人と自然とのつながりを意識する言葉。
まとめ – SDGsの精神と日本の知恵
「SDGs」は21世紀の新しい目標ですが、その根底にある「共に生きる(共生)」「誰も見捨てない(平等)」「無駄をなくす(環境)」「未来へつなぐ(持続)」といった考え方は、私たちが古くから大切にしてきた知恵と深く響き合います。
「もったいない」という感覚や、「相身互い」の精神、「十人十色」という多様性の尊重は、まさしく持続可能な社会の基盤となるものです。これらの言葉は、地球規模の課題を私たち自身の身近な問題として捉え直し、日々の行動につなげていくヒントを与えてくれるのではないでしょうか。

SDGsってなんだろう?
日本ユニセフ協会が提供する子ども向けのSDGs学習サイト、SDGs CLUB(クラブ)。小中学生向けに、SDGsが何のために、どうやってできたかご紹介します。





コメント