結婚式のスピーチを頼まれたとき、新郎新婦への溢れるお祝いの気持ちをどのように表現すればよいか、迷うことはありませんか?
そんなとき、古くから伝わる「四字熟語」や「ことわざ」は、短い言葉の中に深い意味と格式を込められる、強力な助っ人となります。
しかし、言葉選びにはセンスと配慮が問われます。意味が素晴らしくても現代の感覚に合わない言葉や、実は結婚式には不向きな言葉も存在するからです。
この記事では、結婚式のスピーチやメッセージカードで自信を持って使える、お祝いの言葉をテーマ別に厳選しました。
「偕老同穴」のような王道の四字熟語から、「笑う門には福来る」のような親しみやすいことわざまで、新郎新婦の人柄に合わせて選んでみてください。
【王道】永遠の愛と長寿を願う言葉
まずは、結婚式スピーチで最も格調高く、新郎新婦が末永く連れ添うことを願う「王道」の表現です。主賓の挨拶や、乾杯の発声など、格式を重んじる場面でも安心して使えます。
夫婦の絆を表す四字熟語
- 偕老同穴(かいろうどうけつ)
- 意味:生きては共に老い、死しては同じ墓(穴)に葬られること。夫婦の契りが固く、一生を共にすることのたとえ。
- 解説:結婚式における最上級の褒め言葉の一つです。「偕(とも)に老いる」という文字通り、長い人生を寄り添い合う覚悟と絆を表します。
- 比翼連理(ひよくれんり)
- 意味:男女の愛情が深く、ちぎりが固いことのたとえ。
- 由来:中国の詩人・白居易が、玄宗皇帝と楊貴妃の愛を詠んだ詩に由来します。「比翼の鳥(片方の翼しかなく、雌雄一体となって飛ぶ鳥)」と「連理の枝(根は別々でも幹が一つに繋がった木)」という伝説上の生き物と植物になぞらえています。
- 白頭偕老(はくとうかいろう)
- 意味:白髪になるまで夫婦が仲良く連れ添うこと。
- 解説:「共白髪(ともしらが)」という日本語表現の四字熟語版です。「お二人が白頭偕老の契りを結ばれたこと、心よりお慶び申し上げます」といった使い方ができます。
- 琴瑟相和(きんしつそうわ)
- 意味:夫婦仲が非常に睦まじいこと。
- 解説:「琴(きん)」と「瑟(しつ)」という2種類の弦楽器の音が、美しく響き合う様子から来ています。「琴瑟調和(きんしつちょうわ)」とも言いますが、一般的には「相和(あいわ)す」を使います。
重みのある熟語・表現
- 華燭の典(かしょくのてん)
- 意味:結婚式のこと。「華やかな灯火(ともしび)の儀式」という美称。
- 用例:「本日は、華燭の典を挙げられましたこと、誠におめでとうございます」
- 福寿無量(ふくじゅむりょう)
- 意味:幸福と長寿が、量りきれないほど豊かであること。
- 解説:二人の未来に無限の幸せがあるよう祈る言葉です。
【相性】二人の仲の良さを表す言葉
友人代表のスピーチや、少し砕けた温かいメッセージには、二人の相性の良さや仲睦まじさを強調する言葉がおすすめです。
息ぴったりの二人へ
- 阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)
- 意味:二人以上で物事を行う際、互いの微妙な気持ちやタイミングがぴったり合うこと。
- 解説:言葉を交わさなくても通じ合える、相性抜群のカップルに最適です。
- 以心伝心(いしんでんしん)
- 意味:文字や言葉を使わなくても、お互いの心が通じ合っていること。
- 解説:元は仏教用語ですが、現代では「言葉がいらないほど深く理解し合っている関係」として使われます。
- 水魚の交わり(すいぎょのまじわり)
- 意味:水と魚のように、切っても切れない親密な関係。
- 解説:本来は主君と家臣(劉備と諸葛孔明)の信頼関係を指す言葉でしたが、現在では夫婦や親友の離れがたい絆を表す際にも使われます。
- 二人三脚(ににんさんきゃく)
- 意味:二人が力を合わせ、協力して物事を行うこと。
- 解説:楽しいことだけでなく、困難も共に乗り越えていく「協力」の姿勢を強調できる言葉です。
愛情の深さを表す言葉
- 鴛鴦の契り(えんおうのちぎり)
- 意味:夫婦の仲が極めて良いことの約束。
- 解説:オシドリ(鴛鴦)のつがいが常に寄り添っている姿から。「鴛鴦之契」と四字熟語で書くこともあります。「おしどり夫婦」の語源です。
- 相思相愛(そうしそうあい)
- 意味:互いに慕い合い、愛し合っていること。
- 解説:シンプルですが、誰もが理解できるストレートな祝福の言葉です。
- 相合傘(あいあいがさ)
- 意味:一つの傘を二人で差すこと。転じて、親密な関係。
- 解説:スピーチのメインテーマとしては軽いですが、「雨の日も風の日も、これからは二人で相合傘で歩んでいってください」といった表現で使うと、微笑ましい印象を与えられます。
【運命・未来】出会いの奇跡と幸福を願う言葉
二人が出会ったことの不思議さ(運命)や、これからの明るい未来を祝福する言葉です。
縁(えにし)を感じさせる言葉
- 合縁奇縁(あいえんきえん)
- 意味:人と人との気心が合うのも合わないのも、すべて不思議な縁によるものだということ。
- 解説:「奇縁」は思いがけない不思議な巡り合わせのこと。「お二人の出会いは、まさに合縁奇縁ですね」と、運命的な出会いを強調できます。
- 縁は異なもの味なもの(えんはいなものあじなもの)
- 意味:男女の縁はどこでどう結ばれるか分からず、理屈では説明できない面白さがあるということ。
- 解説:全くタイプが違う二人や、意外な場所で出会った二人など、ユニークな馴れ初めを紹介する際の前置きとしてピッタリです。
- 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん)
- 意味:道で見知らぬ人と袖が触れ合うような些細なことも、前世からの因縁によるものだということ。
- 解説:すべての出会いを大切にする心を表します。「多生」は「何度も生まれ変わる」という意味の仏教用語。「多少」と書くのは誤りです。
- 月下氷人(げっかひょうじん)
- 意味:男女の縁を取り持つ人。仲人(なこうど)。
- 解説:恋のキューピッド役をした人がいる場合、その人を讃える言葉として使えます。
幸福な未来を願う言葉
- 笑う門には福来たる(わらうかどにはふくきたる)
- 意味:いつも笑い声が絶えない家には、自然と幸福がやってくる。
- 解説:新郎新婦へ贈る「座右の銘」として、最も人気があり好感度の高いことわざの一つです。「笑顔の絶えない家庭を築いてください」というメッセージと共に。
- 寿山福海(じゅさんふくかい)
- 意味:山のような長寿と、海のような幸福。
- 解説:スケールの大きな言葉で、二人の前途を盛大に祝います。
- 円満具足(えんまんぐそく)
- 意味:何一つ不足がなく、満ち足りていること。家庭が平和で満たされている様子。
注意が必要な言葉・マナー
美しい言葉であっても、時代背景や言葉の持つ意味合いによっては、結婚式で使う際に注意が必要です。
1. 現代の価値観にそぐわない言葉
以下の言葉は伝統的ですが、現代の「対等なパートナーシップ」という価値観とは異なる解釈をされる場合があります。
- 夫唱婦随(ふしょうふずい):夫が言い出し、妻がそれに従うこと。
- 挙案斉眉(きょあんせいび):妻が夫を深く敬うこと。
これらは、年配の方が使う分には「伝統的な夫婦像」として受け入れられることもありますが、友人が使う場合や、共働きのカップルに対しては「二人三脚」や「比翼連理」など、共に歩む言葉を選んだ方が無難です。
2. 難解すぎる言葉
- 関関雎鳩(かんかんしょきゅう):水鳥が仲良く鳴き交わす様子から、夫婦仲が良いこと。
- 非常に雅な言葉ですが、耳で聞いただけで意味が分かる人は少数です。スピーチで使う場合は、必ず分かりやすい解説を添えましょう。
3. 忌み言葉・重ね言葉
四字熟語やことわざ以外でも、スピーチ全体を通して以下の言葉は避けるのがマナーです。
- 忌み言葉:別れる、切れる、離れる、終わる、冷める、破れる、去る、帰る
- 重ね言葉(再婚を連想させる):たびたび、ますます、重ね重ね、いろいろ
心に響くスピーチ構成のヒント
四字熟語やことわざは、ただ並べるだけでは相手に伝わりません。以下のように、エピソードとセットで使うのがコツです。
構成例:友人スピーチ
- 導入:お祝いの言葉
- エピソード:二人の仲の良さを象徴する出来事を紹介
- 「〇〇くんと〇〇さんは、お互いの趣味を尊重し合っていて、いつも楽しそうに話していますね。」
- 言葉の贈呈:エピソードを四字熟語でまとめる
- 「そんなお二人を見ていると、まさに『比翼連理』
——翼を並べて飛ぶ鳥のように、離れがたい絆を感じます。」
- 「そんなお二人を見ていると、まさに『比翼連理』
- 結び:未来への祝福
- 「これからも『笑う門には福来る』の精神で、笑顔の絶えない温かい家庭を築いてください。」
まとめ
結婚式のスピーチは、言葉の巧みさよりも「祝福の気持ち」が大切です。
しかし、古人の知恵が詰まった言葉には、その気持ちをより美しく、深く届ける力があります。
「いつまでも仲良く」と伝えるなら「偕老同穴」。
「運命の出会いだったね」と伝えるなら「合縁奇縁」。
二人の顔を思い浮かべながら、ぴったりの言葉を選んでみてください。あなたの言葉が、新郎新婦の新たな門出を彩る素敵なギフトとなるはずです。






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