意味
「一生の計は立志にあり」とは、一生をどのように過ごすかという計画は、まず志(目標や決意)を立てることから始まるという意味です。
また、人生を実りあるものにするには、最初に確固たる目標を定めることが肝要であるという教訓を指します。
単に「夢を持つ」というだけでなく、自分の人生をどう構築していくかという「根本的な決意」が、その後の歩みを決定づけるという重みを説いています。
語源・由来
「一生の計は立志にあり」の由来は、中国の明時代の文人、馮應京(ふうおうきょう)が著した『月令広義(げつれいこうぎ)』に記された「四計」に基づいています。
原典の『月令広義』では、「一生の計は勤(勤勉)にあり」と記されており、本来は一生の計は「勤勉さ」にあるとされていました。
日本では、これが「立志」に置き換わった形で広まっています。
ただし元就が長男・隆元に宛てたとされる書状の文面は「一年の計は春にあり、一月の計は朔にあり、一日の計は鶏鳴にあり」の三つで、「一生の計」も「立志」も含まれていません。
元就が「立志」と言ったとする文献上の裏付けは見当たらず、いつ誰が「勤」を「立志」に置き換えたのかははっきりしていません。
江戸時代の儒学者・佐藤一斎(さとういっさい)が『言志四録(げんししろく)』で志を立てることの重要性をくり返し説いており、こうした日本の精神修養の考え方と結びつくなかで「立志」の形が広まったとみられます。
使い方・例文
「一生の計は立志にあり」は、就職や入学などの門出の際や、自分自身の生き方を見つめ直す場面で使われます。
技術や知識を身につける前に、まずは「どのような人間になりたいか」という根幹を固めるべきだという文脈で多く用いられます。
例文
- 進路に悩む生徒に、先生は「一生の計は立志にあり。何を成したいか考えよ」と説いた。
- 一生の計は立志にあり、若いうちに目標を定めることが財産になる。
- 定年後の活動を始めるにあたり、一生の計は立志にありの気持ちで志を立てた。
- 一生の計は立志にありの精神で、社会貢献を見据えた新たな学問に励む。
類義語・関連語
「一生の計は立志にあり」と似た意味を持つ言葉には、志や目標の重要性を説くものが多くあります。
- 志ある者は事竟に成る(こころざしあるものはことついになる):
強い志を持っている人は、最後には必ず物事を成し遂げられるということ。 - 初志貫徹(しょしかんてつ):
最初に決めた志を、最後まで変えずに突き通すこと。 - 志定まれば気盛んなり(こころざしさだまればきさかんなり):
目標が定まれば、それに向かう意欲も自然と湧いてくるということ。
対義語
「一生の計は立志にあり」とは対照的な意味を持つ言葉は、目標がなく投げやりな様子を指すものが中心です。
- 無為徒食(むいとしょく):
これといった目標もなく、何もしないで毎日をぶらぶらと過ごすこと。 - その日暮らし:
将来の計画を立てず、その場しのぎで毎日を過ごすこと。
英語表現
「一生の計は立志にあり」を英語で表現する場合、意志や目的の重要性を強調する格言が使われます。
Where there is a will, there is a way
直訳は「意志あるところに道は開ける」で、強い意志(志)を持っていれば必ず成し遂げるための手段は見つかるという、世界的に有名な格言。
Don’t give up on your dreams. Where there is a will, there is a way.
(夢を諦めてはいけない。志があるところに、道は必ず開けるのだから。)
A life without a purpose is a ship without a rudder
直訳は「目的のない人生は、舵のない船のようなものだ」で、人生において志や目的を持たないことがいかに危ういかを比喩的に表す表現。
You should set a goal. A life without a purpose is a ship without a rudder.
(目標を立てるべきだ。目的のない人生は、舵のない船のようなものなのだから。)
四計を完成させる最後のピース
ちなみに、この言葉が含まれる「四計」は、原文では一日の計(晨)、一年の計(春)、一生の計(勤)に加えて、最後に「一家の計は身(身を修めること)にあり」と続きます。
家庭の安定や繁栄は、まず自分自身が心身を整え、品行を正すことから始まるという意味です。
四つの計は、一日・一年・一生・一家という別の単位で並べられており、時間の長さだけで揃えられているわけではありません。










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