意味
「十全十美(じゅうぜんじゅうび)」とは、どこにも不備がなく、あらゆる点で満ち足りたすばらしい状態をいいます。
全体として一つの不備もなく、最高に素晴らしい状態にあることを称賛する際に用いられます。
- 十全(じゅうぜん):少しも欠けたところがなく、完全なこと。
- 十美(じゅうび):完全に美しいこと。非の打ちどころがないこと。
語源・由来
「十全十美」は、中国最古の礼制書のひとつ『周礼(しゅらい)』の「天官冢宰(てんかんちょうさい)」にある医師(医官)の評価に関する記述に由来するとされます。
同書には、治療した10人が全員治癒することを「十全」として最高の評価とする一節があり、この「十全」がのちに「完全である」「非の打ちどころがない」ことを表す言葉として広く使われるようになりました。
漢字の「十」には、数字としての意味だけでなく「すべて」「完全」「満ち足りている」という意味合いが込められています。
この「十」を「全(完全)」と「美(美しさ・立派さ)」の両方に重ねることで、これ以上ない完璧さを強調した言葉として生まれました。
使い方・例文
「十全十美」は、出来栄えや計画の緻密さなどが、完璧で申し分ない状態であることを褒め称える場面で使われます。
- 彼の描いた風景画は、構図も色彩も十全十美だ。
- 十全十美の準備をして、明日の発表会に臨む。
- チーム全員の息が合った、十全十美の連携だった。
類義語・関連語
「十全十美」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 完全無欠(かんぜんむけつ):
欠点や不足している部分がまったくなく、完璧なこと。 - 至善至美(しぜんしび):
きわめて立派で、きわめて美しいこと。 - 円満具足(えんまんぐそく):
十分に満ち足りていて、何も不足がないこと。
対義語
「十全十美」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 百孔千瘡(ひゃっこうせんそう):
欠点や破綻だらけであること。
※漢字の順序を入れ替えて「千瘡百孔(せんそうひゃっこう)」とも表現します。 - 一無所長(いちむしょちょう):
これといった長所や取り柄が一つもないこと。 - 杜撰(ずさん):
物事のやり方がいい加減で、誤りや手落ちが多いこと。
英語表現
「十全十美」を英語で表現する場合、以下のようなフレーズが適しています。
flawless
意味:傷のない、非の打ちどころのない
She gave a flawless performance on the stage.
(彼女はステージで十全十美の演技を見せた。)
「十全十美」の十全、周礼では医師の最高評価
『周礼』天官の医師の条には、年の終わりに医師の治療の成績を調べ、それによって俸禄を決めるとあり、次のように続きます。
十全為上,十失一次之,十失二次之,十失三次之,十失四為下。
(十人を治して十人とも治れば上とし、十人に一人を失えばその次、二人を失えばその次、三人を失えばその次、四人を失えば下とする)
成績は五段階で、十人のうち四人を治せなかった医師が最も下に置かれます。
「十全」は、その五段階の一番上にあたる評価です。










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