意味
「円満具足(えんまんぐそく)」とは、必要なものがすべてそろっていて、少しも欠けたところがないという意味です。
物事の状態のほか、人柄や暮らしが満ち足りている様子にも使います。
語源・由来
この言葉は、「円満」と「具足」を重ねた語です。
「円満」は、神仏の功徳(= 神仏のめぐみ)が十分に満ち足りていることや、願いが満たされることを言い、性格や物事に欠点がなく穏やかな様子も表します。
「具足」は、物事が十分に備わって満ち足りていることです。
使い方・例文
「する」を付けて、「円満具足した人格」のように使うこともできます。
- 家族に囲まれて過ごした祖父の晩年は、まさに円満具足の日々だった。
- 修行を積んだ老僧の、円満具足した穏やかな顔つきに心を打たれた。
- 何もかも円満具足した暮らしなど、そう簡単には手に入らない。
類義語
- 完全無欠(かんぜんむけつ):
欠けたところや不足がまったくなく、完全であること。
芥川『黒衣聖母』の観音像は「円満具足」の顔ではなかった
芥川龍之介の短編『黒衣聖母』(1920年)では、この語が像の顔を評する場面に出てきます。
田代君が、切支丹禁制の時代に聖母マリアの代わりに拝まれた麻利耶観音の像を「私」に見せます。
「私」はその美しい顔に悪意を帯びた嘲笑のようなものを感じ、無気味なところがあると言います。
それを受けて田代君が返したのが、次の一言です。
「円満具足の相好とは行きませんかな。」
(満ち足りた穏やかなお顔、とはいきませんか。)
相好(= 顔つき)が満ち足りていない観音像について、田代君はこのあと、福を転じて禍とする縁起の悪い聖母だという伝説を語り始めます。



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