お酒に酔って、まっすぐ歩けず左右にふらつきながら歩く。
その頼りない足取りを、海辺を歩く鳥の姿になぞらえて表現するのが、「千鳥足」(ちどりあし)です。
意味
千鳥足とは、お酒に酔って、足元がふらつき左右に体を揺らしながら歩くことという意味です。
まっすぐに進めず、あちこちに蛇行してしまう危なっかしい歩き方を表します。
- 千鳥(ちどり):海岸や河原にすむ小型の水鳥の総称。
- 足(あし):歩き方、足取りのこと。
語源・由来
千鳥という鳥は、後ろ指がなく前三本の指だけで立っているため、体のバランスを取ろうと内股気味に左右の足を交差させながら歩きます。
その結果、進む方向に対して体が左右にジグザグと揺れる、独特の歩き方になります。
この千鳥特有の歩き方が、お酒に酔って足元がおぼつかない人の歩き方によく似ていることから、「千鳥足」と呼ばれるようになったという説があります。
なお中世には、馬が乱れた足並みで進む様子を「千鳥足」と呼んだ例もあり、そこから酔った人の歩き方を指す使い方へ広がっていったとも言われています。
使い方・例文
忘年会や飲み会の帰り道など、お酒を飲みすぎてふらついている人の様子を表す際によく使われます。
- 飲みすぎた同僚が、千鳥足で駅までの道を歩いていた。
- 忘年会帰りの父は、千鳥足で玄関にたどり着いた。
- 彼は千鳥足になりながらも、上機嫌で歌っていた。
英語表現
「千鳥足」を英語で表現する場合、酔って足元が不安定な様子を表す言い回しが使えます。
walk like a drunken sailor
- 意味:「酔っぱらいのようにふらふら歩く」
- 解説:船乗りが陸に上がった直後や酔った時に見せる、左右に揺れる不安定な歩き方を指す言い回しです。千鳥足のイメージに近い表現です。
- 例文:
After the party, he walked like a drunken sailor all the way home.
(パーティーの後、彼は家まで千鳥足で歩いた。)
stagger
- 意味:「よろめきながら歩く」
- 解説:足元が定まらず、ふらつきながら進む様子を表す動詞です。お酒だけでなく、疲労やけがで足元が不安定な場合にも使えます。
- 例文:
She staggered out of the bar at midnight.
(彼女は真夜中にバーから千鳥足で出てきた。)
動物の姿にたとえる日本語表現
「千鳥足」のように、動物の姿や動きを人間の様子にたとえる表現は、日本語に数多く見られます。
背中が丸まった姿勢を指す「猫背」、量のわずかさを表す「雀の涙」なども、身近な生き物の特徴を借りた言葉です。
科学的な観察に基づく命名というより、日々の暮らしの中で人々が動物をよく見つめ、その特徴を巧みに人間描写へ転用してきた証といえます。
「千鳥足」も、酔った人の姿を面白がりながら見つめてきた、どこかユーモラスな庶民の観察眼から生まれた言葉なのでしょう。









コメント