ことわざ

鷹は飢えても穂を摘まず

(たかはうえてもほをつまず)

気高い人は、どんなに困窮しても不正な利益を得ようとはしないことのたとえ。

異形:鷹は死すとも穂は摘まず/鷹は飢えても穂はつまず

12文字の言葉 / 「た・だ」から始まる言葉
鷹は飢えても穂を摘まず ことば
スポンサーリンク

意味

「鷹は飢えても穂を摘まず(たかはうえてもほをつまず)」とは、気高く誇り高い人は、どんなに困窮しても不正な手段で利益を得ようとはしないことです。
貧しさや苦しさを理由に、自分の信念や誇りを安売りしない生き方を称える言葉です。

  • 鷹(たか):鋭い爪とくちばしを持つ、猛禽類の鳥。
  • 穂(ほ):稲や麦などの、実った部分。
  • 摘まず(つまず):つまみ取らない、口にしないこと。

語源・由来

鷹は本来、野ねずみや小鳥などをとらえて食べる肉食の猛禽です。
気位が高く、翼を大きく広げて空高く舞う鷹は、どれほど腹をすかせていても、雀のように地面に落ちた稲穂をついばむような真似はしないとされてきました。
この鷹の気高い習性に、たとえ貧しさに苦しんでも不正な財産や施しに手を出さない、節義を重んじる人の姿を重ね合わせた言葉であるという説があります。
「武士は食わねど高楊枝」と同じ精神を、鷹の生態にたとえて表現したことわざといえます。

使い方・例文

  • 事業が傾いても、彼は鷹は飢えても穂を摘まずの精神を貫いた。
  • 生活が苦しくても嘘はつかない、まさに鷹は飢えても穂を摘まずだ。
  • 祖父は鷹は飢えても穂を摘まずという言葉を、いつも口にしていた。
スポンサーリンク

類義語・関連語

対義語

  • 背に腹はかえられぬ(せにはらはかえられぬ):
    苦しい状況では、多少の犠牲や不正も仕方ないという考え方。

室町の注釈書にも『忠臣蔵』にも「鷹は飢えても穂を摘まず」

早い記録は、1563年に成立した注釈書『玉塵抄ぎょくじんしょう』に見られます。
「鷹は飢えても穂は摘まないとは言うが、飢えれば泥の中の物でも食べる」と、ことわざを引いたうえで混ぜ返しています。

人形浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』(1748年初演)の五段目は、「鷹は死しても穂はつまずと、譬たとへに漏れず」という語りで始まります。
続いて描かれるのは、主君の大事に居合わせなかった早野勘平はやのかんぺいが、浪人して山崎のあたりで猟師をして暮らす姿です。

江戸後期の曲亭馬琴は、読本『夢想兵衛胡蝶物語むそうびょうえこちょうものがたり』(1810年)でこの語り出しを踏まえ、世にうたわれた早野氏も、人の非業の死を幸いに志を変えるなら、そのたとえも「虚文きょぶん」(= 中身のない言葉)だと書きました。
飢えれば泥の中の物も食べるという『玉塵抄ぎょくじんしょう』と同じく、ことわざの建前と人の行いの隔たりを突いた使い方です。

スポンサーリンク

コメント

URLをコピーしました