故事成語 ことわざ

水は方円の器に従う

(みずはほうえんのうつわにしたがう)

人は、置かれた環境や交わる相手によって、良くも悪くも変化するというたとえ。


16文字の言葉 / 「み」から始まる言葉
水は方円の器に従う ことば
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意味

「水は方円の器に従う(みずはほうえんのうつわにしたがう)」とは、人の性格やふるまいは、身を置く環境や付き合う相手しだいで、良い方にも悪い方にも変わっていくというたとえです。
四角い器に入れれば四角に、丸い器に入れれば丸に形を変える水に、人をなぞらえています。

  • 方円(ほうえん):四角形と円形のこと。
  • 器(うつわ):容器。

語源・由来

「水は方円の器に従う」は、中国・唐の詩人白居易はくきょいの詩「偶吟ぐうぎん」の一節による言葉です。
白居易はこの詩で、朝廷の役人から野に暮らす老人へと移り変わった自分の境遇を振り返り、「情無き水は方円の器に任せ、繋がれざる舟は去住きょじゅうの風に随う(心を持たない水は入れ物の形のままに形を変え、つながれていない舟は風のままに行き来する)」と詠んでいます。

器の形に水が従うというたとえ自体はさらに古く、中国・戦国時代の『韓非子かんぴし』や『荀子じゅんし』に見えます。
ただしそこでは器は君主、水は人民で、民の善し悪しは君主しだいだという話でした。
『韓非子』は孔子の言葉として「盂う方なれば水方に、盂圜えんなれば水圜なり(鉢が四角ければ水も四角く、丸ければ水も丸くなる)」を引いたうえで、これを退けています。

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使い方・例文

「水は方円の器に従う」は、環境や交友関係が人に与える影響を語る場面で使われます。

  • 水は方円の器に従うというように、育つ環境は人を変える。
  • 良い友人を選ぶのも、水は方円の器に従うからだ。
  • 荒れた学校から転校した弟は、まじめな級友に囲まれて、半年で毎晩机に向かうようになった。水は方円の器に従うとはこのことだ。

類義語・関連語

「水は方円の器に従う」と近い意味を持つ言葉に、「朱に交われば赤くなる」があります。
どちらも人が周囲の影響を受けることを表しますが、由来とたとえが異なります。

  • 朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる):
    人は交わる相手によって、良くも悪くも感化されるということ。

「水は方円の器に従う」と「朱に交われば赤くなる」の違い

「水は方円の器に従う」は器に合わせて形を変える水に、「朱に交われば赤くなる」は朱に触れて赤く染まることに、人を重ねています。

語句たとえ由来
水は方円の器に従う器に合わせて形を変える水白居易の詩「偶吟」
朱に交われば赤くなる朱に触れて赤く染まる晋の傅玄ふげんの文「太子少傅箴」

もとは「人は善悪の友による」と続いた

日本では古く、「水は方円の器に従い、人は善悪の友による」と後半が続く形で使われていました。
前半の水のたとえを、後半が「人は付き合う友しだいで善にも悪にもなる」と言い直す作りです。
子どもに読み書きと教訓を教えた教科書(往来物)の一つ『金言童子教きんげんどうじきょう』には、「水随方圓器、人因善惡友」と漢文の対句で載っています。
今は前半だけで言うのがふつうですが、意味には後半の「付き合う友しだい」が今も含まれています。

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