意味
「傾国傾城(けいこくけいせい)」とは、君主を夢中にさせ、国や城を傾け滅ぼしてしまうほどの絶世の美女という意味です。
単に容姿が美しいだけでなく、その魅力が周囲や国家までも動かしてしまうという、美の持つ危うさを含んだ表現です。
- 傾国(けいこく):国を傾け、滅ぼすこと。
- 傾城(けいせい):城を傾け、滅ぼすこと。
語源・由来
前漢の武帝に仕えた音楽家・李延年が、武帝の前で歌った詩に由来します。
李延年は、一度振り返っただけで城が傾き、二度振り返れば国さえも傾くほどの美女がいると歌いました。
「そんな人が本当にいるのか」と嘆じた武帝に、武帝の姉・平陽公主が、延年には妹がいると告げました。
一顧傾人城、再顧傾人国。
(いっこすればひとのしろをかたむけ、さいこすればひとのくにをかたむく)
李延年(前漢時代)
この妹はのちに武帝の寵愛を受ける李夫人(りふじん)となり、この詩の一節から「傾国」「傾城」という言葉が絶世の美女を指す表現として定着しました。
使い方・例文
「傾国傾城」は、並外れた美貌を大げさに讃える場面で使われます。
- 歴史ドラマに登場する妃は、まさに傾国傾城と呼ぶにふさわしい美貌の持ち主だった。
- 彼女の美しさは、傾国傾城という言葉が大げさではないほどだった。
- 古代中国の史書には、傾国傾城の美女にまつわる逸話が数多く残されている。
類義語・関連語
英語表現
a femme fatale
男性を破滅に導くほどの魅力を持つ女性を指す、フランス語由来の表現。
The novel’s heroine is portrayed as a classic femme fatale.
(その小説のヒロインは、典型的な傾国傾城の女性として描かれている。)
遊女の呼び名にもなった由来
「傾国」「傾城」という言葉は、後の時代には遊女を指す言葉としても使われるようになりました。
日本では平安時代から江戸時代にかけて、「傾城」は遊女の別称として使われ、なかでも太夫・天神といった上級の遊女を指す言葉として用いられました。
上方の歌舞伎や浄瑠璃には『傾城浅間嶽』のように、外題に「傾城」の字を冠する演目も数多くあります。
現代でも、強い影響力を持つ人物の魅力を語る際に、良くも悪くも「国を動かしかねない」という誇張表現が使われることがあります。
2000年以上前、前漢の宮廷で詠まれたこの言葉は、時代や文脈を変えながら、人を惹きつける魅力の強さを語る表現として使われてきました。











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