意味
「牛耳(ぎゅうじ)」とは、牛の耳のことです。
「牛耳を執る」の形で、同盟の盟主になること、また団体の中心となって自分の思いどおりに事を運ぶことを表し、同じ意味で「牛耳る」とも言います。
- 牛(ぎゅう):うし。
- 耳(じ):みみ。
語源・由来
中国の歴史書『春秋左氏伝』(哀公十七年)に由来します。
春秋戦国時代、諸侯たちが同盟を結ぶ際には、牛の耳を裂き、参加者全員がその血をすすって忠誠を誓い合うという儀式が行われていました。
哀公十七年の記事には、この儀式で誰が牛の耳を執るのかを論じる場面があります。
この役を誰が担ったかは注釈によって説が分かれ、盟主となる大国が執ったとみる説、格下の国が執るのが礼であったとする説、大国の例も小国の例もあって決まっていなかったとする説があります。
後世、「牛耳を執る」が同盟の主導権を握る意味で用いられるようになり、そこから組織や集団の実権を握ることを「牛耳る」と言うようになりました。
使い方・例文
「牛耳を執る」「牛耳る」の形で、組織や業界の実権を握っている状況を表すときに使われます。
- 創業者は引退後も、実質的に会社の牛耳を執り続けている。
- あの派閥が党の牛耳を執っている限り、改革は進まないだろう。
- 一人の天才デザイナーが、業界の牛耳を執る時代が長く続いた。
類義語・関連語
- 実権を握る(じっけんをにぎる):
組織を動かす実際の力を持つこと。 - 君臨(くんりん):
ある分野で絶対的な力を持ち支配すること。
英語表現
take control of
〜の支配権を握る、〜を牛耳る。
He still takes control of the company even after retiring.
(彼は引退した後も会社を牛耳っている。)
「牛耳を執る」の元になった盟約の儀式
古代中国の会盟における「歃血(さっけつ)」、つまり血をすすって誓いを立てる儀式は、単なる儀礼ではなく、破れば天罰が下るとされる重い契約行為でした。
牛の耳を裂くという役目は危険や穢れを引き受ける行為でもあり、盟主となる大国がこの役を担ったとみる説に立てば、それを担える者こそが集団を代表するという発想を読み取ることもできます。
現代の「牛耳る」という言葉に、どこか強引さや独断的なニュアンスが漂うのは、この儀式が本来、力によって秩序を作り出す行為だったことの名残なのかもしれません。












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