早飯早糞芸のうち

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昔の奉公人や武士は、いざという時にすぐ動けるよう、食事も用足しも素早く済ませることを美徳とした。
そんな、動作の早さそのものも立派な特技だとする考えを表す言葉が、「早飯早糞芸のうち」(はやめしはやぐそげいのうち)です。

意味

「早飯早糞芸のうち」とは、食事や用便を素早く済ませることも、一つの立派な特技だということという意味です。

特別な才能がなくても、動作の早さそのものが役に立つ能力だと肯定する、実用的な教えです。

  • 早飯(はやめし):食事を短時間で済ませること
  • 早糞(はやぐそ):用便を短時間で済ませること
  • 芸のうち(げいのうち):立派な特技の一つ

語源・由来

「早飯早糞芸のうち」は、江戸時代の奉公人や武家の心得として伝わってきた言葉です。

主君に仕える奉公人や武士は、いつ呼び出されてもすぐに動けるよう、食事や用便に時間をかけない習慣が重んじられました。
似た言葉に「早飯も芸の内」や、そろばんの早さも加えた「早飯早糞早算用」といった言い回しも伝わっており、いずれも動作の速さを、才覚と並ぶ実務能力の一つとして評価する考え方を表しています。

使い方・例文

「早飯早糞芸のうち」は、動作の早さを前向きに評価する場面で使われます。

  • 現場作業ではまさに早飯早糞芸のうちで、休憩も手短に済ませる。
  • 昔の職人は早飯早糞芸のうちと言われ、無駄な時間を嫌った。
  • 忙しい朝でも支度が速いのは、早飯早糞芸のうちの心得のおかげだ。

類義語・関連語

「早飯早糞芸のうち」と同じように、行動の速さを評価する言葉には、以下のようなものがあります。

  • 早飯早糞早算用(はやめしはやぐそはやざんよう):
    食事・用便・計算のすべてが素早いこと。

「早飯早糞芸のうち」と「早飯早糞早算用」の違い

どちらも動作の速さを評価する言葉ですが、対象の範囲に違いがあります。

語句対象の範囲
早飯早糞芸のうち
(はやめしはやぐそげいのうち)
食事と用便の速さを、特技として肯定する言葉
早飯早糞早算用
(はやめしはやぐそはやざんよう)
食事・用便に加え、そろばんの速さまで含めた言葉

武家社会が重んじた、有事に備える身体感覚

戦国から江戸にかけての武家社会では、いつ主君からの呼び出しや非常事態が起きてもすぐに動けることが、家臣にとって重要な資質とされていた。
食事や用便に時間をかけている間に事態が動けば、対応が遅れて主君や仲間に迷惑をかけかねない。
こうした緊張感の中で、動作の速さは単なる癖ではなく、忠誠や有能さを示す一つの指標として捉えられていた。

現代に伝わる「早飯早糞芸のうち」という言い回しには、こうした有事に備える身体感覚が、時代を超えて言葉の形で残っている。

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