慣用句

行き当たりばったり

(いきあたりばったり)

前もって計画を立てず、その場その場のなりゆきに任せて事を進めること。またそのさま。

異形:ゆきあたりばったり

9文字の言葉」から始まる言葉
行き当たりばったり ことば
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意味

「行き当たりばったり」とは、先の見通しを立てないまま、そのときの流れに合わせて物事を進めていくという意味です。

準備不足をとがめる響きを持つことが多い言葉です。
ただし旅や遊びについて言うときは、自由さを楽しむ前向きな言い方にもなります。

  • 行き当たり(いきあたり):進んだ先で偶然ぶつかること。
  • ばったり:思いがけず出くわす様子。

語源・由来

「行き当たりばったり」は、江戸時代の話し言葉から広まった言い回しです。

もとは、歩いた先で行く手をふさがれ、そこでばったりと出くわしたものに従うという情景を表していました。
道の先を見通さずに進む姿がそのまま、計画を立てずに事を運ぶ態度のたとえになったのです。

浮世草子『好色酒呑童子』(1695年)に「只物ごと行あたり八打(ばったり)」とあり、江戸前期にはすでに使われていたことが分かります。
「いきあたりばったり」の形も、ことわざを集めた『諺苑』(1797年)に収められています。

使い方・例文

「行き当たりばったり」は、段取りを組まずに物事を進める様子を評する場面で使われます。

  • あいつの仕事は行き当たりばったりで、いつも締め切り前に慌てる。
  • 宿も決めない行き当たりばったりの旅が、いちばん面白い。
  • 準備なしの行き当たりばったりでは、この規模の催しは回らない。

読み方の違い

「いきあたりばったり」と「ゆきあたりばったり」の両方が辞書に載っており、どちらも誤りではありません。
現在は「いきあたりばったり」と読むのが一般的で、「ゆきあたりばったり」は古風な響きを持ちます。

類義語・関連語

「行き当たりばったり」と同じく、先を見通さずに事を進める様子を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 猪突猛進(ちょとつもうしん):
    周りを見ずに、ひとつの方向へ勢いよく突き進む様子。
  • 杜撰(ずさん):
    やり方が大雑把で、細部に手落ちが目立つ様子。

「行き当たりばったり」と「猪突猛進」の違い

どちらも計画性の乏しさを表しますが、進む勢いの有無が違います。
「行き当たりばったり」は目的地を決めずに流されるのに対し、「猪突猛進」は目的がはっきりしたうえで周りが見えていません。

語句目的の有無ポジネガ
行き当たりばったり
(いきあたりばったり)
決めていない旅や遊びでは肯定的
猪突猛進
(ちょとつもうしん)
はっきりしている勇気として称える場合あり

対義語

「行き当たりばったり」と正面から対をなす言葉には以下のようなものがあります。

  • 用意周到(よういしゅうとう):
    準備が行き届き、手抜かりがひとつも見当たらない様子。
  • 備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし):
    日ごろから支度をしておけば、いざというときに慌てずに済むという教え。

英語表現

play it by ear

楽譜を見ずに耳で弾くことから生まれた、その場の状況に合わせて決めるという言い回し。

We have no plan, so let’s just play it by ear.
(計画がないので、行き当たりばったりでいきましょう。)

hit-or-miss

当たるも外れるも運任せという、出たとこ勝負のやり方を指す表現。

His way of working is rather hit-or-miss.
(彼の仕事のやり方は、かなり行き当たりばったりです。)

「ばったり」が担っている役割

「ばったり」は、物が倒れる音と、思いがけず出くわす様子の両方を表す言葉です。
この語には、あらかじめ予定していた出会いには使えないという偏りがあります。
「駅でばったり会った」とは言えても、「約束してばったり会った」とは言いません。
「行き当たりばったり」の後半がこの語で締められていることで、偶然に身を任せるという意味が語形そのものに組み込まれています。

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