意味
「行き当たりばったり(いきあたりばったり)」とは、先の見通しを立てないまま、そのときの流れに合わせて物事を進めていくという意味です。
準備不足をとがめる響きを持つことが多い言葉です。
ただし旅や遊びについて言うときは、自由さを楽しむ前向きな言い方にもなります。
- 行き当たり(いきあたり):進んだ先で偶然ぶつかること。
- ばったり:思いがけず出くわす様子。
語源・由来
「行き当たりばったり」は、「行き当たる」に「ばったり」を添えた言い回しです。
進んだ先で突き当たったもの、ばったり出くわしたものにそのつど任せて進む様子から、計画を立てずに事を運ぶ態度を表します。
元禄期に町人の暮らしを描いた小説「浮世草子」の一つ、『好色酒呑童子』に「只物ごと行あたり八打」とあり、江戸前期にはすでに使われていたことが分かります。
「いきあたりばったり」の形も、ことわざを集めた『諺苑』(1797年)に収められています。
使い方・例文
「行き当たりばったり」は、段取りを組まずに物事を進める様子を評する場面で使われます。
- あいつの仕事は行き当たりばったりで、いつも締め切り前に慌てる。
- 宿も決めない行き当たりばったりの旅が、いちばん面白い。
- 下見もせず行き当たりばったりで進めては、この規模の催しは回らない。
読み方の違い
「いきあたりばったり」とも「ゆきあたりばったり」とも読み、どちらも誤りではありません。
現在は「いきあたりばったり」と読むのが一般的です。
類義語・関連語
「行き当たりばったり」と同じく、先を見通さずに事を進める様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 出たとこ勝負(でたとこしょうぶ):
前もって手を考えず、その場の成り行きで事に当たること。 - 場当たり(ばあたり):
先のことを考えず、その場の思いつきで物事をすること。
対義語
「行き当たりばったり」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
英語表現
play it by ear
楽譜を見ずに耳で弾くことから生まれた、その場の状況に合わせて決めるという言い回し。
We have no plan, so let’s just play it by ear.
(計画がないので、行き当たりばったりでいきましょう。)
hit-or-miss
当たるも外れるも運任せという、出たとこ勝負のやり方を指す表現。
His way of working is rather hit-or-miss.
(彼の仕事のやり方は、かなり行き当たりばったりです。)
偶然の出会いも指した「行き当たりばったり」
「行き当たりばったり」は、成り行きに任せる意味のほかに、ある人や場所に偶然行き当たるという意味でも使われてきました。
大正時代の小説にも、この使い方の例があります。
「ばったり」と「行き当たる」の組み合わせは、江戸後期の恋愛小説「人情本」にも出てきます。
為永春水の『春色梅児誉美』(1832〜33年)では、「思はずバッタリ行当り」と2語の順を入れ替えた形で、人と人が思いがけず出会う意味に使われています。
今の「駅でばったり会う」の「ばったり」も、この出会いの「ばったり」です。









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