三字熟語 故事成語

風馬牛

(ふうばぎゅう)

自分とはまったく関わりがなく、口を出す立場にもないこと。無関心なさまにもいう。


6文字の言葉ふ・ぶ・ぷ」から始まる言葉
風馬牛 ことば
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意味

単に接点がないことを示すだけでなく、他人事として距離を置く冷ややかな響きを伴います。
そのため、当事者意識のない態度を批判する場面でも使われます。

  • (ふう):家畜がさかりづいて相手を求めること。
  • 馬牛(ばぎゅう):馬と牛。種類の異なる家畜。

語源・由来

「風馬牛」は、中国の歴史書『春秋左氏伝』の僖公四年に出てくる一節から生まれました。

紀元前六五六年、北方の斉が諸侯の軍を率いて南方の楚へ攻め込もうとしました。
楚の王は軍へ使者を送り、「君は北海に処り、寡人は南海に処る。唯だ是れ風馬牛も相及ばざるなり」と伝えます。
あなたの国は北の果て、こちらは南の果てにあり、さかりのついた馬や牛でさえ互いのもとへは行き着けない、という意味です。

もともとは、これほど無縁の間柄なのになぜ軍を進めるのか、という抗議の言葉でした。
「風」の解釈には、家畜がさかりづいて雌雄が呼び合う意とする説のほかに、放れた家畜が互いの土地まで迷い込まないことを指すという説もあります。

使い方・例文

「風馬牛」は、自分には関係がないと言い切る場面や、当事者意識のない態度を評する場面で使われます。

  • その論争は我々には風馬牛だ。わざわざ口を出す筋合いはない。
  • 現場の苦労に風馬牛の顔をされては、これ以上話が進まない。
  • 隣国で政変が起きても、彼にとっては風馬牛であるらしい。

類義語・関連語

「風馬牛」と同じく、自分には関わりがないという立場を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 対岸の火事(たいがんのかじ):
    自分には害の及ばない他人の災難。
  • 高みの見物(たかみのけんぶつ):
    関わらずに離れた場所から眺めている態度。
  • 馬耳東風(ばじとうふう):
    人の意見を心にとめず聞き流すさま。

「風馬牛」と「対岸の火事」の違い

どちらも自分には関わりがないことを表しますが、何との距離を言うかが違います。
「風馬牛」はそもそも接点のない間柄を指し、「対岸の火事」は目に見えている出来事に害が及ばないことを指します。

語句指しているもの出来事の見え方
風馬牛
(ふうばぎゅう)
接点そのものが無い間柄視野に入っていない
対岸の火事
(たいがんのかじ)
害の及ばない他人の災難目の前で起きている

対義語

「風馬牛」とは反対に、切り離せない間柄であることを表す言葉があります。

  • 一蓮托生(いちれんたくしょう):
    行動も結果も最後まで共にすること。

英語表現

have nothing to do with

直訳は「〜とは何の関わりも持たない」で、無関係であることを正面から言い切る表現。

That dispute has nothing to do with our team.
(あの論争はうちのチームには風馬牛です。)

none of my business

自分が口を出す立場にはないと示す、日常会話で広く使われる言い回し。

What they decide is none of my business.
(彼らが何を決めようと風馬牛です。)

「無関係」と言われた斉の答え

紀元前六五六年のやりとりには続きがあります。
楚の使者に「風馬牛も相及ばず」と言われた斉の側では、宰相の管仲が二つの理由を挙げて返しました。
一つは、周の王室へ納めるはずの苞茅ほうぼうという酒をこすための茅が届いていないこと。
もう一つは、かつて周の昭王が南へ遠征したまま帰らなかったことです。
楚は「貢ぎ物の件は我が君の落ち度です。昭王のことは水辺にお尋ねください」と答え、両軍は戦わないまま召陵しょうりょうで盟約を結びました。

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