意味
「五月雨」とは、陰暦五月ごろに降り続く長雨を指します。今の梅雨にあたります。
そこから転じて、物事が途切れながらだらだらと続くことのたとえにも使われます。
雨そのものを指すときは季節の情趣を含み、たとえとして使うときは要領の悪さをとがめる響きになります。
- さ:五月(さつき)の「さ」と同じ語。
- みだれ:水が垂れることを指すとみる説がある。
語源・由来
「五月雨」は、雨そのものよりも降る時期を名前にした言葉です。
「さ」は「さつき」の「さ」と同じ語で、五月に降る雨という組み立てになっています。
「みだれ」については、水が垂れるという意味の語ではないかとする見方があります。
この言葉は『万葉集』などの上代の文献には見当たりません。
当時は三日以上降り続く雨をまとめて「ながめ」と呼んでおり、五月雨もそこに含まれていたと考えられています。
季節を区切って呼ぶ言い方が、あとから分かれて生まれたわけです。
使い方・例文
「五月雨」は、初夏の長雨を指すほか、物事が断続的に続く様子をとがめる場面でも使われます。
- 五月雨が降り続き、境内の苔が日ごとに色を濃くしていく。
- 修正依頼が五月雨に届くので、作業が一向に終わらない。
- 五月雨の晴れ間をねらって、干していた布団を取り込んだ。
俳句での使用例
『おくのほそ道』(松尾芭蕉)
最上川のほとりで詠まれた句で、降り続いた雨を集めて流れが速くなっている情景を表しています。
五月雨をあつめて早し最上川
「五月雨式」との関係
降っては止み、また降り出すという長雨の性質から、「五月雨式」という言い方が生まれました。
物事を一度にまとめず、小分けに繰り返すやり方を指します。
「五月雨式で申し訳ありませんが」と前置きすれば、たびたび連絡することへの断りになります。
雨そのものを指す「五月雨」と違い、こちらは季節に関係なく一年中使われます。
類義語・関連語
「五月雨」と同じく、季節の雨や空模様を表す言葉には以下のようなものがあります。
「五月雨」と「五月晴れ」の違い
どちらも陰暦五月の空を指す言葉ですが、見ているものが正反対です。
「五月雨」は降り続く雨を、「五月晴れ」はその合間にのぞく晴天を指します。
| 語句 | 指している空模様 | 続く長さ |
|---|---|---|
| 五月雨 (さみだれ) | 降り続く長雨 | 何日も |
| 五月晴れ (さつきばれ) | 雨の合間の晴天 | 短い |
英語表現
early summer rain
初夏の雨、と時期を添えて説明する、五月雨に近い言い方。
The early summer rain lasted for a week.
(五月雨が一週間降り続きました。)
in dribs and drabs
少しずつ小分けに、という意味で、五月雨式のやり方を指す言い回し。
The orders came in in dribs and drabs.
(注文は五月雨式に届きました。)
新暦の五月に降る雨ではない
五月雨の「五月」は陰暦の五月で、今の暦ではおおよそ六月から七月上旬にあたります。
そのため五月雨が指すのは、新暦の五月の雨ではなく梅雨の雨です。
気象の面でも、梅雨の前期はしとしと降る型、後期は集中豪雨型になります。
芭蕉が最上川で「あつめて早し」と詠んだのは、後期の降り方に近い水量だったことになります。









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