意味
「不条理」とは、物事の筋道が立たず、道理に合わないことを指します。
日常では、納得のいかない扱いや理不尽な仕打ちを指して使います。
哲学の分野では、人生に意味を見いだせない人間の状況を指す言葉としても使われ、日常語より重い意味を持ちます。
- 不(ふ):〜ではないと打ち消す語。
- 条理(じょうり):物事の筋道。
語源・由来
「不条理」には、日本語としての歴史と、翻訳語としての歴史の二つがあります。
日常語としての「不条理」は、幕末にはすでに使われていました。
当時の用法は、無理な言いがかりをつけるという意味で、今とほとんど変わりません。
もう一つの流れは、フランス語のabsurditéの訳語としての「不条理」です。
作家のアルベール・カミュが『異邦人』と『シーシュポスの神話』(ともに一九四二年)でこの語に独自の意味を持たせ、世界と人間との間に必然的な結びつきがないことを指しました。
この用法が広まり、日本語の「不条理」にも哲学の色合いが加わっています。
使い方・例文
「不条理」は、筋の通らない扱いや、納得のいかない出来事を評する場面で使われます。
- 責任者だけが処分を免れるとは、あまりに不条理な結末だ。
- 努力が報われないという不条理を、彼は黙って受け入れた。
- 大きな天災の前では、備えの有無すら不条理に思えてくる。
類義語・関連語
「不条理」と同じく、筋道が通っていないことを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 支離滅裂(しりめつれつ):
ばらばらでまとまりがなく、話の筋が通らないさま。 - 本末転倒(ほんまつてんとう):
大事なこととささいなことを取り違えること。 - 矛盾(むじゅん):
二つの物事のつじつまが合わないこと。
「不条理」と「支離滅裂」の違い
どちらも筋が通らないことを表しますが、通らない場所が違います。
「不条理」は出来事や境遇そのものが道理に合わないことを、「支離滅裂」は話や考えの組み立てが崩れていることを指します。
| 語句 | 筋が通らない対象 | 使う相手 |
|---|---|---|
| 不条理 (ふじょうり) | 出来事や境遇 | 世の中や運命 |
| 支離滅裂 (しりめつれつ) | 話や考えの組み立て | 人の発言 |
対義語
「不条理」とは反対に、筋道がきちんと通っていることを表す言葉があります。
- 理路整然(りろせいぜん):
話や考えの筋道がきちんと整っているさま。
英語表現
absurd
道理に合わない、ばかげているという意味で、カミュの用語ともつながる語。
The rule is completely absurd.
(その規則はまったく不条理です。)
unfair
扱いが公平でないと訴えるときに使う、日常的な言い方。
It felt unfair that only she was blamed.
(彼女だけが責められるのは不条理に思えました。)
シーシュポスの神話が示したもの
カミュが『シーシュポスの神話』で取り上げたのは、大きな岩を山頂まで押し上げると転げ落ち、また押し上げる作業を永遠に繰り返す男の話です。
ギリシャ神話でシーシュポスに科された罰で、終わりも成果もありません。
カミュはこの姿を、意味を求める人間と、意味を返してこない世界との食い違いに重ねました。
この食い違いそのものが、彼の言う不条理にあたります。









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