意味
「無理無体」は、「無理無体な要求」「無理無体に連れ出す」のように、「―な」「―に」の形にして使われます。
相手の意向にかまわず強いて物事を行うことを表します。
無法に強制すること、という言い方もされます。
- 無理(むり):物事の筋道が立たないこと。
- 無体(むたい):無法なこと。ないがしろにすること。
語源・由来
「無理無体」は、似た意味の言葉を二つ重ねて強めた言い方です。
「無理」も「無体」も、道理に合わないことを指します。
「無体」については、法相宗で論理の上で認められる法を「有体」、認められない法を「無体」と呼んだところから、広く道理の通らないことを指すようになり、その結果「無理無体」という言い方も現れたという説があります。
この語は日葡辞書(1603〜04年)に載っており、『葉隠』(1716年ごろ)巻一にも「無理無体に奉公に好き、無二無三に主人を大切におもへば」という一節が出てきます。
むやみに奉公を好み、わき目もふらず主人を大切に思うならば、という意味です。
使い方・例文
「無理無体」は、相手の都合を考えずに押し通すやり方を言うときに使われます。
- 先方が出してきた条件は、無理無体な要求でしかない。
- 泣きじゃくる子を無理無体に車へ乗せて連れ出した。
- 休みの日にまで呼び出すのは無理無体が過ぎるだろう。
小説での使われ方
『妖』(円地文子)
炎天下、荷を積んだ馬を坂の上まで登らせようとする場面です。
真夏の炎天に、山のように荷を積んだ馬を無理無体に坂の上まで登らせようと
類義語・関連語
「無理無体」と同じように、相手の言い分を聞かずに押し通すことを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 横車を押す(よこぐるまをおす):
道理に合わないことを強引に押し通そうとすること。 - 問答無用(もんどうむよう):
相手の言い分を聞かずに、話し合いを打ち切って物事を進めること。 - 独断専行(どくだんせんこう):
他人の意見を仰がず、自分一人の判断で物事を実行すること。
「無理無体」と「横車を押す」の違い
どちらも道理に合わないことを押し通す場面で使う言葉で、どちらを選ぶか迷います。
分かれるのは、押しつけられる中身や様子を言う言い方か、押し通す側の動きを言う言い方かという点です。
| 語句 | 言い表すところ |
|---|---|
| 無理無体 (むりむたい) | 押しつけの中身や様子 |
| 横車を押す (よこぐるまをおす) | 押し通す側の動き |
英語表現
「無理無体」を英語で言うときは、相手の言い分を聞かずに押し通す態度を表す言い方があります。
high-handed
相手の言い分を聞かずに事を進める様子を表す言い方。「無理無体な」に近い形容の表現。
His high-handed decision upset the whole team.
(彼の無理無体な決定はチーム全体を怒らせました。)
against someone’s will
本人の意志に逆らって、という言い方。いやがる相手に何かをさせる場面で使う表現。
She was taken to the hospital against her will.
(彼女は無理無体に病院へ連れて行かれました。)
「無体」にはもう一つの意味がある
「無体」には、無理・無法という意味とは別に「形のないこと。無形」という意味があります。
この意味で使われるのが「無体財産権」という言葉で、発明や考案などの無形の財産的利益を自分の意思だけで支配できる権利を指します。
特許権や著作権がこれにあたり、いまは知的財産権とも呼ばれます。
仏教で実体がないことを指す使い方も、同じ「無体」です。
道理に合わないことと形を持たないことという、離れた二つの意味を同じ二字が担っています。









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