四字熟語

抜山蓋世

(ばつざんがいせい)

山を引き抜くほどの力と、世を覆うほどの気力を持つこと。英雄の力と気迫の形容。


8文字の言葉は・ば・ぱ」から始まる言葉
抜山蓋世 ことば
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意味

「抜山蓋世」とは、山を引き抜くほどの怪力と、世界を覆いつくすほどの気力を兼ね備えていることを表す四字熟語です。
誇張した言い方で、並外れた力と気迫を持つ英雄を称える際に使われます。

  • 抜山(ばつざん):山を引き抜くほどの、並外れた力。
  • 蓋世(がいせい):世界を覆いつくすほどの、盛んな気力。

語源・由来

「抜山蓋世」は、楚の武将項羽が生涯最後の夜に詠んだ詩の一句から生まれた言葉です。
紀元前202年、天下の覇権を漢の劉邦と争った項羽は、垓下(現在の安徽省)で漢の大軍に包囲されます。
敗北を悟った項羽は、愛馬の騅(すい)や愛姫の虞(ぐ)とともに酒を酌み交わしながら、『史記』に「力抜山兮気蓋世(力は山を抜き、気は世を蓋う)」と記された詩を歌いました。
これは、山を引き抜き世界を覆うほどの力を誇った自分でさえ、もはや時勢には逆らえないという嘆きを込めた一句でした。

使い方・例文

「抜山蓋世」は、並外れた力を持つ人物や、圧倒的な気迫を称える場面で使われます。

  • 彼の抜山蓋世の勢いには、並み居る強豪も歯が立たなかった。
  • 決勝での彼女の気迫はまさに抜山蓋世、誰も止められなかった。

類義語・関連語

「抜山蓋世」と同様に、並外れた力や意気込みを表す言葉には、次のようなものがあります。

  • 気炎万丈(きえんばんじょう):意気込みが盛んで、勢いがきわめて盛んなこと。
  • 万夫不当(ばんぷふとう):一人で大勢を相手にできるほど強いこと。

「抜山蓋世」と類義語の違い

三つとも勢いの盛んさを表しますが、称える対象が異なります。
「抜山蓋世」は力と気迫そのものの大きさを、「気炎万丈」は意気込みや勢いの盛んさを、「万夫不当」は一人で大勢に立ち向かう強さを称える言葉です。

語句称える対象
抜山蓋世
(ばつざんがいせい)
力と気迫そのものの大きさ
気炎万丈
(きえんばんじょう)
意気込みや勢いの盛んさ
万夫不当
(ばんぷふとう)
一人で大勢に立ち向かう強さ

対義語

「抜山蓋世」とは反対に、気力が衰えている状態を表す言葉には、次のようなものがあります。

  • 意気消沈(いきしょうちん):元気や気力をすっかり失ってしまうこと。

英語表現

larger than life

直訳は「実物より大きい」。並外れた力や存在感を持つ英雄的な人物を形容する際に使う表現で、誇張した印象を伝える点が「抜山蓋世」に近い。

His courage on the battlefield was larger than life.
(戦場での彼の勇気は、並外れたものだった。)

垓下を囲んだ四方の歌声

項羽が「力抜山兮気蓋世」を歌った垓下の夜、漢の軍勢は項羽の軍を幾重にも取り囲んでいました。
劉邦は兵に命じて、四方から楚の国の歌を歌わせています。
項羽はこれを聞き、味方であるはずの楚の人々までもがすでに漢に降ったと思い込み、絶望したと伝えられています。
この、四方を囲む敵の陣地からことごとく故郷の歌が聞こえてくるという情景から生まれた言葉が、周囲を敵に囲まれて孤立無援になることを指す「四面楚歌」です。
同じ夜、同じ場所から、英雄の気迫を称える「抜山蓋世」と、孤立無援を嘆く「四面楚歌」という、正反対の意味を持つ二つの四字熟語が生まれたことになります。

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