慣用句

犬が西向きゃ尾は東

(いぬがにしむきゃおはひがし)

きわめて当たり前で、あえて言うまでもないことのたとえ。


13文字の言葉」から始まる言葉
犬が西向きゃ尾は東 ことば
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意味

犬が西を向けば尾は自然と反対の東を向くという、疑いようのない当たり前の事実をわざわざ持ち出して、おかしみを込めて言うことわざです。
当然すぎることを大まじめに言い立てる点に、聞き手を軽くくすぐるような面白さがあります。

語源・由来

「犬が西向きゃ尾は東」は、特定の書物ではなく、犬が西を向けば尾はその反対側、つまり東を向くという単純な観察そのものが元になっています。
言うまでもない道理をあえてことわざの形に仕立てて、当たり前を茶化す言葉遊びとして広まったとみられます。

方角を入れ替えた「犬が東向きゃ尾は西」という形も、古い時代のことわざを集めた書物に残っています。
地域や時代によって、どちらの方角を先に置くかが揺れながら使われていたことがうかがえます。

使い方・例文

「犬が西向きゃ尾は東」は、聞くまでもないほど明白な事実をあえて指摘したり、当たり前の忠告に念を押されて拍子抜けしたりする場面で使われます。

  • 明日も晴れなら傘は要らないなんて、犬が西向きゃ尾は東の理屈だ。
  • 言われなくてもわかっているのに、まさに犬が西向きゃ尾は東を聞かされた気分だ。

類義語・関連語

「犬が西向きゃ尾は東」と同じように、疑う余地のないほど明白な様子を表す言葉には、次のようなものがあります。

  • 言わずもがな(いわずもがな):
    言うまでもなくはっきりしていること。
  • 自明の理(じめいのり):
    説明するまでもなく明らかな道理。
  • 火を見るより明らか(ひをみるよりあきらか):
    疑う余地がないほど明白であること。

「犬が西向きゃ尾は東」と「火を見るより明らか」の違い

どちらも「疑いようがないほど明白」という点は共通しますが、使われる場面の空気が異なります。
「犬が西向きゃ尾は東」は当たり前すぎることを笑い交じりに言うのに対し、「火を見るより明らか」は今後の結果を真剣に予測する場面で使われます。

語句ニュアンス使う場面
犬が西向きゃ尾は東当たり前すぎて笑いを誘う冗談交じりの軽い会話
火を見るより明らか疑う余地のない確信結果を予測する真剣な場面

対義語

「犬が西向きゃ尾は東」と反対に、先のことが全く予測できない様子を表す言葉には、次のようなものがあります。

  • 一寸先は闇(いっすんさきはやみ):
    ほんの少し先のことでさえ、何が起こるか全く予測できないこと。

英語表現

Is the Pope Catholic?

誰もが知る当然の事実を引き合いに出し、質問への答えが明白すぎることをからかい気味に示す反語表現。

“Will you come to the party?” “Is the Pope Catholic?
(「パーティーに来る?」「わかりきったことを聞くね」。)

明治の辞典によって東西が入れ替わっていたことわざ

「犬が西向きゃ尾は東」は、明治時代の辞典の中でも表記が揺れていたことわざです。
明治39年(1906年)の『日本俚言大全』には「犬が西向きゃ尾が東」という、現在とほぼ同じ形が収められています。

ところが明治43年(1910年)の藤井乙男編『諺語大辞典』では、方角を入れ替えた「犬が東向けば尾が西向く」という形で載っています。
当たり前のことを大まじめに言うという趣旨は変わらないまま、東西どちらを例に出すかは辞典の間でも統一されていなかったことになります。

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