ことわざ

蛙が鳴くと雨

(かえるがなくとあめ)

雨蛙が鳴き声を上げると、間もなく雨が降るとされる言い伝え。


9文字の言葉 / 「か・が」から始まる言葉
蛙が鳴くと雨 ことば
スポンサーリンク

意味

「蛙が鳴くと雨(かえるがなくとあめ)」とは、湿気を好む雨蛙(あまがえる)が普段より大きな声で鳴き始めることを、これから天気が崩れるしるしと見るという意味です。
観天望気の一つで、体が小さく身近な生き物である蛙の様子が、天気を見分ける目安として語り継がれてきました。

語源・由来

観天望気は、天気予報の仕組みが整う前に、人々が身近な生き物や自然の変化を頼りに天気を見分けてきた経験則です。
蛙は湿った場所を好み、雨が近づくと活発に動く生き物として知られ、その鳴き声の変化に注目した言い伝えが各地に残っています。
昭和初期に刊行された気候便覧や農業書にも「雨蛙が鳴くと雨になる」という一節が繰り返し記録されており、当時の農作業や暮らしの中で実際に使われていた言い伝えだったことがうかがえます。

鳴く理由は皮膚呼吸と結び付けて説明される

蛙の仲間は肺だけでなく皮膚でも呼吸を行う生き物で、周囲の湿度が変わると皮膚の状態も変わりやすいといわれています。
この性質から、雨が近づいて空気が湿ると蛙の動きが活発になり、鳴き声が増えるためではないかと説明されることがあります。
ただし、鳴き声が増える仕組みは、気象学的にはっきりと解明されているわけではありません。

使い方・例文

田んぼや庭先で蛙の声が急に大きくなったときに、天気の変わり目を伝える言葉として使われます。

例文

  • 縁側で聞こえる蛙の声が急に増えた。「蛙が鳴くと雨」と祖母が空を見上げた。
  • 洗濯物を干していたら蛙が鳴く声が聞こえ、慌てて取り込んだ。
  • 天気予報を見なくても、蛙が鳴けば雨が近いと祖父は信じていた。

類義語・関連語

生き物の鳴き声や様子から天気を見分ける言い伝えは、蛙のほかにも各地に伝わっています。

  • 燕が低く飛ぶと雨(つばめがひくくとぶとあめ):
    湿った空気で低く飛ぶ虫を追い、燕も低空を飛ぶ様子を雨の前触れとする言い伝え。
  • カマキリが高く卵を産むと大雪(かまきりがたかくたまごをうむとおおゆき):
    カマキリが卵を産む高さから、その冬の積雪量を見立てる言い伝え。

銚子測候所の『気候便覧』にも記録されている

千葉県の銚子測候所が1934年にまとめた『気候便覧』には、「雨蛙が鳴くと雨になる」という一節が記されています。
測候所は気象を観測する専門の施設ですが、当時はまだ観測機器だけに頼らず、地域で語り継がれてきた生き物の言い伝えも参考資料として書き留めていました。

翌1935年に岩波書店から刊行された『気象学』にも同じ言い伝えが取り上げられています。
雨蛙の鳴き声は単なる迷信として片付けられていたわけではなく、当時の気象の専門家たちにも意識されていた身近な観察対象だったことがうかがえます。

この言い伝えが載っていたのは気象の専門書だけではありません。
昭和初期に発行された郷土誌や農会の刊行物のほか、ハイキング案内の小冊子や、鉄道省が保線区の職員向けに配った『防災保線読本』にも、同じ「雨蛙が鳴くと雨」という一節が見つかります。
農作業の目安としてだけでなく、行楽に出る人や線路を守る仕事に就く人にまで、職業や立場を超えて広く伝えられていた言い伝えだったことがうかがえます。

スポンサーリンク

コメント