意味
「燕が低く飛ぶと雨(つばめがひくくとぶとあめ)」とは、ツバメが地面近くを低く飛び回っていると、まもなく雨が降りやすいという言い伝えです。
空模様だけでなく、身近な生き物の様子から天気を読み取る「観天望気」(かんてんぼうき)の一つとして伝えられてきました。
語源・由来
この言い伝えは、農作業や暮らしの中で、ツバメの飛び方と天気の変化を結び付けて観察してきた経験から生まれたと考えられます。
大正から昭和初期にかけての資料にも、この言い伝えは繰り返し出てきます。
たとえば、1919年に出版された『天候と人生』という本には「燕が低く飛ぶのは雨の兆」という言葉が出てきます。
1933年発行の子ども向け百科事典にも同じ言い伝えが登場するなど、大正から昭和にかけて幅広い世代に伝えられてきたことがうかがえます。
低く飛ぶ理由といわれること
ツバメが低く飛ぶ理由については、雨が近づいて湿度が高くなると、ツバメの餌になる小さな羽虫の羽が湿気を含んで重くなり、高く飛べずに地面近くを飛ぶようになるためだ、と説明されることがあります。
ツバメはその虫を追いかけて捕まえるため、結果として自分も低空飛行になる、という見方です。
ただし、この仕組みがどこまで確かめられているかははっきりしていません。
ツバメの飛ぶ高さはそのときの気圧や湿度を映している可能性はあるものの、それだけで先々の天気まで確実に言い当てるとは限りません。
使い方・例文
「燕が低く飛ぶと雨」は、実際にツバメが低く飛ぶ様子を見て、雨の心配を口にする場面などで使われます。
例文
- 洗濯物を干していたが、燕が低く飛ぶと雨を思い出し急いで取り込んだ。
- 田んぼの上を燕が低く飛ぶのを見て、祖母は雨支度を始めた。
- 空はまだ晴れているが、燕が低く飛ぶと雨というので傘を持った。
類義語・関連語
ツバメと同じように、身近な生き物の様子で天気を占う言い伝えには、次のようなものもあります。
空の色を見る「朝焼けは雨」「夕焼けは晴れ」とは違う系統ですが、同じ観天望気の一つです。
- 猫が顔を洗うと雨(ねこがかおをあらうとあめ):
猫が前足で顔をこするようなしぐさをすると、雨が近いとされる言い伝え。 - 雨蛙が鳴くと雨(あまがえるがなくとあめ):
雨蛙が盛んに鳴き出すと、雨が近いとされる言い伝え。
対義語
ツバメが低く飛ぶのとは反対に、高く飛ぶ様子を天気の兆しとする言葉もあります。
- 燕が高く飛ぶと晴れ(つばめがたかくとぶとはれ):
ツバメが空高くを飛び回っていると、晴天が続きやすいとされる言い伝えです。
英語表現
英語にも、ツバメの低空飛行を雨の兆しとする似た表現があります。
If swallows touch the water as they fly, rain approaches
ツバメが飛びながら水面をかすめるほど低く飛ぶ様子を、雨の前触れとする英語圏の言い回し。
1869年にイギリスで編まれた天気のことわざ集『Weather Lore』に収められています。
If swallows touch the water as they fly, rain approaches.
(ツバメが飛びながら水面に触れるほど低く飛ぶと、雨が近いという意味です。)
1926年の青年団講座で教えられた「燕が低く飛ぶと雨」
1926年に大分県社会課がまとめた青年団・処女会向けの講座資料には、「動物に関する天気俚言」として、ツバメだけでなく実に多くの生き物の言い伝えが並んでいます。
魚が水面に跳ねる、雨蛙が頻りに鳴く、蛭が水面を忙しく泳ぎ回る、蜘蛛が忙しく巣をかける、蛇が木に登る、雀が水を浴びる――いずれも雨が近い兆しとされていました。
当時の青年団・処女会は、若い世代に農作業や暮らしに役立つ知識を伝える地域の学びの場でした。
ツバメの飛び方が魚やクモ、ヒルの動きと並んで一つの単元として教えられていたことから、天気予報がなかった時代には、身の回りの生き物の観察が暮らしに欠かせない技術だったことがうかがえます。











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