ことわざ

猫が顔を洗うと雨

(ねこがかおをあらうとあめ)

猫が前足で顔をこする仕草を、雨が近いしるしとみる言い伝え。


12文字の言葉 / 「ね」から始まる言葉
猫が顔を洗うと雨 ことば
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意味

「猫が顔を洗うと雨(ねこがかおをあらうとあめ)」とは、猫が前足で顔をこすり始めると、まもなく雨が降る前触れだという天気の言い伝えです。
これは観天望気かんてんぼうきと呼ばれる、身のまわりの自然の変化から天気を読み取る経験則の一つです。
雨が降ったあとに振り返って言う言葉ではなく、猫が顔をこすっている最中に、そろそろ降るかもしれないと言い添える形で使われます。
こうした天気の言い伝えは「天気のことわざ」や「天気俚諺りげん」(= 天気に関することわざ)とも呼ばれます。

語源・由来

1916年に兵庫県の印南郡いなみぐんでまとめられた郷土の記録には、その土地の天気の言い伝えと並べて、猫が顔を洗うと雨が降るという一文が書き留められています。
同じ記録には、鳶とびが空で鳴くと日和、低いところで鳴くと雨、梟ふくろうが鳴けば天気が良いといった言い方も並んでいて、猫の洗顔がそうした一群の中の一つとして扱われていたことが分かります。

使い方・例文

猫が顔をこすっているのを見かけて、雨が近いかもしれないと知らせるときに使います。
「猫が顔を洗うと雨が降る」と最後まで言う形もあります。
明治・大正の記録に残っているのは、この形です。

例文

  • 猫が前足で顔をこすり出した。猫が顔を洗うと雨というから、傘を持って出よう。
  • 猫が顔を洗うと雨と祖母が言った翌日、本当に降ったので驚いた。

顔を洗う仕草は、雨の降らない日も毎日くり返される

湿度が上がると猫のヒゲや顔まわりの毛がわずかに湿り、その違和感から顔をこする回数が増える、という説明がよくされます。
ただし猫の毛づくろいは、食事のあとに口のまわりを整えるときや、体温を調節するとき、気持ちを落ち着かせたいときにも行われるもので、晴れた日にも一日に何度もくり返されます。
顔を洗ったことと、そのあとに雨が降ることを結びつける根拠は確かめられていません。

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類義語・関連語

この言葉と同じように、生き物や風の様子から雨を予想する言い伝えがいくつも伝わっています。

  • 燕が低く飛ぶと雨(つばめがひくくとぶとあめ):
    燕が地面すれすれを飛び回るのは、雨が近いしるしだということ。
  • 東風吹けば雨(こちふけばあめ):
    東寄りの風が吹いてくると、まもなく雨になるという言い伝え。

天気にまつわる言い伝えは、以下の記事にもまとめています。

耳を越すと雨、中国では来客

古い書物には、前足が耳を越すかどうかで雨を見分ける言い方が残っています。
明治の哲学者・井上円了いのうええんりょうは『妖怪学講義』(1894年)で、猫が顔を洗って前足が耳を越すと雨が降る、という言い伝えを紹介しています。

同じ箇所で円了は、唐の時代の中国の随筆『酉陽雑俎ゆうようざっそ』にある言い伝えも並べています。
猫が耳を越して顔を洗うと客が来る、というものです。
同じ仕草を、日本では雨、中国では来客のしるしと読んでいたことになります。

英語圏にも似た言い方があります。
1883年にアメリカ陸軍の通信隊が出した『Weather Proverbs』という本に、猫が耳の後ろまで頭を洗うのは雨のしるし、という言い伝えが載っています。
アメリカ東海岸のケープコッドに住む老婦人から聞いた話として書かれています。
ただし同じ本には、猫が身づくろいをすると晴れるという逆向きの言い伝えも並んでいます。

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