意味
「煙が横にたなびくと雨(けむりがよこにたなびくとあめ)」とは、まっすぐ立ち上るはずの煙が横に流れてたなびくときは、間もなく雨が降る前触れであるという意味の言い伝えです。
これは「観天望気」と呼ばれる、自然現象から天気の変化を読み取る経験則の一つです。
焚き火や線香、家の煙突から立つ煙など、身近な煙であればどれにも当てはめて使われます。
こうした天気の言い伝えは「天気のことわざ」や「天気俚諺」(= 天気に関することわざ)とも呼ばれます。
語源・由来
煙の動きを天気の目安にする習わしは、農家や漁師が日々の暮らしの中で積み重ねてきた経験から生まれたと考えられています。
火を焚く暮らしが当たり前だった時代には、煙は家々の生活に欠かせないものであり、その動き方は誰もが日常的に目にする身近な手がかりでした。
煙がたなびく仕組み
晴れて風がない日は、空気の対流が起きにくいため、煙はまっすぐ立ち上ります。
低気圧が近づいて風が生まれ始めると、煙は同じようには昇れず、横に流れてたなびくようになります。
この変化は、目に見えない風の強まりを、煙の動きから読み取る手がかりとして使われてきました。
使い方・例文
例文
- 縁側で線香の煙を見ていた祖母が、「煙が横にたなびくと雨」とつぶやいた。
- 今日は朝から煙が横にたなびいているので、傘を持って出かけた。
英語表現
If during calm smoke does not ascend readily, expect rain
風のない時に煙がすっと昇らなければ雨を覚悟せよ、という戒め。
19世紀イギリスで出版された、天気の言い伝えを集めた本に収められている一文。
If during calm smoke does not ascend readily, expect rain.
(風のない時に煙がすっと昇らなければ、雨が近いと心得よ。)
「煙がたなびく」は、風の強さを測る世界共通の目印でもあった
煙を目印にして風を読み取る工夫は、日本だけのものではありません。
1805年、英国海軍の軍人フランシス・ボーフォートは、見た目の様子だけで風の強さを13段階に分ける基準表を作りました。
当初は軍艦がどれだけ帆を張れるかで風力を見分けるもので、1838年には英国海軍全体で使われる公式の基準になりました。
のちに陸上の目安が加えられ、風力0は「煙はまっすぐ昇る」、風力1は「煙は風向きが分かる程度にたなびく」とされています。
日本でも1920年に発行された計量の手引き書に、「煙が横に靡かず直上する」状態を風のない目安とする記述があります。
国の異なる二つの記録が、同じ目安で風を見分けていたことになります。










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