「土壇場」や「泥沼」、「地に足がつく」など、私たちの生活基盤である「大地(土・砂・泥)」を使った言葉は、日常会話のあらゆる場面に浸透しています。
これらは、安定や基礎の象徴であると同時に、汚れ、危険、あるいは生命力のメタファーとして、多彩な意味を持っています。
「土」「砂」「泥」、そして「地(大地)」にまつわる、ことわざ・慣用句・四字熟語を、意味やシチュエーション別に分類して紹介します。
- 1. 基礎・安定・現実
- 2. 困難・危険・トラブル
- 泥沼にはまる(どろぬまにはまる)
- 泥船に乗る(どろぶねにのる)
- 泥棒を見て縄を綯う(どろぼうをみてなわをなう)
- 土壇場(どたんば)
- 塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ)
- 土仏の水遊び(つちぼとけのみずあそび)
- 3. 感情・行動・再起
- 地団駄を踏む(じだんだをふむ)
- 捲土重来(けんどちょうらい)
- 乾坤一擲(けんこんいってき)
- 故郷の土を踏む(こきょうのつちをふむ)
- 土足で踏み込む(どそくでふみこむ)
- 4. 恥・名誉・格差
- 雲泥の差(うんでいのさ)
- 顔に泥を塗る(かおにどろをぬる)
- 泥をかぶる(どろをかぶる)
- 泥中の蓮(でいちゅうのはす)
- 地に落ちる(ちにおちる)
- 5. 努力・無益・その他
- 砂を噛むよう(すなをかむよう)
- 砂漠に水を撒くよう(さばくにみずをまくよう)
- 土一升金一升(つちひとしょうかねひとしょう)
- 冥土の土産(めいどのみやげ)
- 天変地異(てんぺんちい)
- まとめ
- 【特集記事】
週(月・火・水・木・金・土・日)のことわざ
1. 基礎・安定・現実
物事の基盤や、現実的な安定感を表す言葉です。
雨降って地固まる(あめふってじかたまる)
雨が降って地面がぬかるんでも、その後かえって以前よりも固く締まること。
トラブルや揉め事があった後、かえって事態が良い方向へ落ち着いたり、人間関係の絆が深まったりすることのたとえ。
地に足がつく
考え方や行動が浮ついておらず、堅実で落ち着いているさま。
夢や理想ばかり追わず、現実をしっかり見据えている様子を指します。
砂上の楼閣(さじょうのろうかく)
砂の上に高い建物を建てても崩れやすいことから、基礎がしっかりしていないため長く維持できない物事のたとえ。また、実現不可能な計画のこと。
地の利(ちのり)
その土地の位置や地形がもたらす有利な条件のこと。
「地の利を生かす」「地の利を得る」のように、ビジネスやスポーツ(ホーム戦)などで使われます。
身土不二(しんどふに)
人間の身体と、その人が暮らす土地(土)は切り離せない関係にあるという考え方。
その土地で採れた季節のものを食べることが健康に良い、という意味で食育の分野などで使われます。
2. 困難・危険・トラブル
避けたい状況や、危機的な場面を表す言葉です。
泥沼にはまる(どろぬまにはまる)
一度足を踏み入れると深みにはまって動けなくなる泥沼のように、悪い状況や困難な問題から抜け出せなくなること。
「不倫の泥沼」や「泥沼化する紛争」のように使われます。
泥船に乗る(どろぶねにのる)
泥で作った船は水に溶けてすぐに沈んでしまうことから、崩れやすく危険な組織や、役に立たないものに頼ることのたとえ。
「大船に乗ったつもり」の対極にある言葉です。
泥棒を見て縄を綯う(どろぼうをみてなわをなう)
泥棒を捕らえてから、縛るための縄をあわてて作り始めること。
事が起こってからあわてて準備をすること、またその準備が間に合わないことのたとえ。
「泥縄(どろなわ)」と略されます。
土壇場(どたんば)
決断や実行を迫られる、最後のぎりぎりの場面。
由来は、近世の刑場で罪人の首を斬るために築いた土の壇(土壇)のこと。「土壇場での逆転」のように使われます。
塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ)
泥(塗)にまみれ、炭火(炭)で焼かれるような、これ以上ないほどのひどい苦しみや困難な状況のこと。
土仏の水遊び(つちぼとけのみずあそび)
土で作った仏像が水遊びをすれば溶けて崩れてしまうことから、自分の苦手なことや危険なことに手を出し、身の破滅を招くことのたとえ。
3. 感情・行動・再起
人の激しい感情や、大地を舞台にした行動を表す言葉です。
地団駄を踏む(じだんだをふむ)
激しい怒りや悔しさのあまり、地面を激しく何度も踏みつけること。
「地団駄」は、製鉄で風を送る「踏鞴(たたら)」を強く踏む動作に由来します。
捲土重来(けんどちょうらい)
一度敗れた者が、土煙を巻き上げるほどの勢いで再び盛り返してくること。
失敗しても諦めずに再起することのたとえ。「捲土(けんど)」は土煙を巻き上げること。
乾坤一擲(けんこんいってき)
運命をかけて、のるかそるかの大勝負をすること。
「乾」は天、「坤」は地を表し、天地をサイコロのように投げて勝負を決めるという意味です。
故郷の土を踏む(こきょうのつちをふむ)
長い間離れていた故郷に無事に帰ること。
土足で踏み込む(どそくでふみこむ)
靴を履いたまま家の中に上がるように、他人の私生活や心の中など、個人的な領域に無遠慮に立ち入ること。
4. 恥・名誉・格差
「泥」を恥や汚点にたとえたり、価値の差を表す言葉です。
雲泥の差(うんでいのさ)
天にある雲と地にある泥。それほどかけ離れている、比較にならない大きな差のこと。「月とスッポン」と類義。
顔に泥を塗る(かおにどろをぬる)
面目を潰すこと。恥をかかせること。「泥を塗る」とも言います。
相手の名誉を傷つけてしまった際などに使われます。
泥をかぶる(どろをかぶる)
自ら進んで、あるいは他人の代わりに、嫌な役回りや責任、汚名などを引き受けること。
泥中の蓮(でいちゅうのはす)
蓮(ハス)の花が泥の中から出て清らかな花を咲かせるように、汚れた環境や悪い境遇の中にいても、それに染まらず清らかさを保っていることのたとえ。
地に落ちる(ちにおちる)
権威、名声、評判などが失われて、回復できないほど悪くなること。「信頼が地に落ちる」のように使います。
5. 努力・無益・その他
報われない努力や、その他の慣用句です。
砂を噛むよう(すなをかむよう)
砂を噛んでも何の味もしないように、話や文章などが無味乾燥で、面白みや情趣が全くないことのたとえ。悔しさでやりきれない気持ちを指すこともあります。
砂漠に水を撒くよう(さばくにみずをまくよう)
広大な砂漠に水を撒いてもすぐに乾いてしまうように、努力や援助がわずかで、何の効果も期待できないことのたとえ。「焼け石に水」と類義。
土一升金一升(つちひとしょうかねひとしょう)
土一升と金一升が等価であるという意味で、土地の値段が極めて高いことのたとえ。
冥土の土産(めいどのみやげ)
死んであの世(冥土)へ行く時に持って行く土産。
転じて、死ぬ前に見たり聞いたりした、良い物事や思い出のこと。「これでいい冥土の土産ができた」のように使います。
天変地異(てんぺんちい)
天空と大地(自然界)で起こる異変。台風、地震、洪水など、人知を超えた災害や現象のこと。
まとめ
「土」や「泥」を含む言葉は、古くから人々がいかに大地と共に生きてきたかを物語っています。
「泥沼」や「泥船」のように危険や停滞を表す言葉がある一方で、「雨降って地固まる」や「捲土重来」のように、困難を経てより強くなる、再起するというポジティブな意味を持つ言葉も多くあります。これらの言葉を知ることは、私たちの足元にある基盤を見つめ直すことにも繋がるでしょう。
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