【特集】「土・砂・泥」に関係する有名なことわざ・慣用句・四字熟語一覧

「土」に関係する有名なことわざ 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

「土壇場」「砂上の楼閣」、そして「泥沼にはまる」など、
日本語には「土」「砂」「泥」を使ったこ言葉が数多く存在します。
大地に根ざした生活を送ってきた日本人にとって、これらは身近で親しみのある存在であり、様々な教訓やたとえとして用いられてきました。

本記事では、そんな「土」「砂」「泥」にまつわることわざ・慣用句を厳選し、意味や使い方、例文までわかりやすく解説します。

「土・砂・泥」に関連する ことわざ

土一升金一升 (つちひとしょうかねひとしょう)

意味・教訓:
一升の土と一升の金が同じ価値であるということから、土地の価格が非常に高いことのたとえ。
例文:
バブル期には、都心の一等地は土一升金一升と言われた。

土仏の水遊び(つちぼとけのみずあそび)

意味・教訓:
土で作った仏像が水に入ると溶けてしまうことから、自分の最も苦手なことや危険なことに手を出すこと、身の破滅を招くような無謀な行為のたとえ。
例文:
プログラミング未経験者が独自開発を始めるのは、土仏の水遊びのようなものだ。

泥中の蓮 (でいちゅうのはす)

意味・教訓:
泥の中に咲いていても、汚れなく清らかな花を咲かせる蓮(はす)のように、悪い環境や境遇の中にいても、それに染まらず清らかさや純粋さを保っていることのたとえ。
例文:
彼女は、どんなに辛い状況でも、泥中の蓮のように美しく咲いている。

「土・砂・泥」に関連する慣用句

土壇場 (どたんば)

意味・教訓:
決断や実行を迫られる、最後の場面。ぎりぎりの瀬戸際。
江戸時代、罪人の首を切るために土を盛り上げた場所「土壇」から。
例文:
土壇場になって計画を変更せざるを得なくなった。

土足で踏み込む (どそくでふみこむ)

意味・教訓:
靴を履いたまま人の家に上がり込むことから転じて、他人のプライバシーや心の中など、個人的な領域に無遠慮に立ち入ることへの非難。
例文:
他人の心に土足で踏み込むような行為は慎むべきだ。

土がつく (つちがつく)

意味・教訓:
相撲で力士の体が土俵の土に付くことから、勝負に負けること。
特に、それまで勝ち続けていた力士が初めて負けること。
例文:
連勝記録が続いていた横綱に、とうとう土がついた。

土に帰る (つちにかえる)

意味・教訓:
人が死んで、その体が自然の一部である土に戻ること。死の婉曲的な表現。
例文:
人は生まれ、やがて土に帰る運命にある。

故郷の土を踏む (こきょうのつちをふむ)

意味・教訓:
長い間離れていた故郷に帰ること。
例文:
彼は何十年ぶりかに、故郷の土を踏んだ。

土地勘 (とちかん)

意味・教訓:
その土地の地理や事情について知識があること。場所に対する感覚的な理解。
例文:
この辺りは土地勘がないので、道に迷ってしまった。

土俵際 (どひょうぎわ)

意味・教訓:
相撲で、土俵のすぐ内側の、勝敗が決まる寸前の場所。転じて、物事の決着がつく直前の、追い詰められた状況。
例文:
彼は土俵際に追い込まれたが、そこから見事な逆転勝ちを収めた。

砂を噛むよう (すなをかむよう)

意味・教訓:
食べても味がなく、じゃりじゃりする砂を噛むような味気なさから、話や文章などが全く面白みがなく、無味乾燥であることのたとえ。
例文:
彼の話は砂を噛むようで、全く面白くない。

砂漠に水を撒くよう(さばくにみずをまくよう)

意味・教訓:
広大な砂漠にわずかな水を撒いても効果がないことから、努力や援助などがわずかで、全く効果が期待できないことのたとえ。「焼け石に水」と類義。
例文:
あれだけの赤字会社への資金援助は、砂漠に水を撒くようなものだ。

泥沼にはまる (どろぬまにはまる)

意味・教訓:
一度足を踏み入れるとなかなか抜け出せない泥沼のように、悪い状況や困難な問題から抜け出せなくなること。
例文:
彼はギャンブルで泥沼にはまってしまった。

泥を塗る (どろをぬる)

意味・教訓:
相手の顔や名誉、功績などに、恥や汚点を着せること。面目を失わせること。
例文:
彼は、親の顔に泥を塗るような行為をしてしまった。

泥仕合 (どろじあい)

意味・教訓:
互いに相手の欠点や弱点を暴露し合って非難し、見苦しく争うこと。泥を投げつけ合うような醜い争い。
例文:
あの二人の喧嘩はまるで泥仕合のようだ。

泥をかぶる(どろをかぶる)

意味・教訓:
自ら進んで、あるいは他人の代わりに、非難や責任、汚名などを引き受けること。
例文:
彼は部下の失敗の責任を、自ら泥をかぶる形で処理した。

泥にまみれる(どろにまみれる)

意味・教訓:
泥で体中が汚れること。転じて、世間の苦労や汚い仕事などを経験すること。また、評判が悪くなること。
例文:
彼は若い頃、泥にまみれて働いた経験がある。

雲泥の差(うんでいのさ)

意味・教訓:
天上の雲と地上の泥ほどの、比較にならないほど大きな差があること。「雲泥万里(うんでいばんり)」とも言う。
例文:
両者の実力には、雲泥の差がある。

泥酔(でいすい)

意味・教訓:
ひどく酒に酔って、正体をなくすこと。泥のようにぐにゃぐにゃになるほど酔うことから。
例文:
彼は昨夜、泥酔して何も覚えていないらしい。

塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ)

意味・教訓:
泥にまみれ、炭火で焼かれるような、非常にひどい苦しみや困難な状況のこと。
例文:
戦乱の世で、民衆は塗炭の苦しみを味わった。

「土・砂・泥」に関連する四字熟語

身土不二 (しんどふに)

意味・教訓:
人間の身体(身)と、その人が生まれ育った土地(土)とは切り離せない深い関係にあるという仏教の考え方。
転じて、その土地で季節にとれたものを食べるのが健康に良いとする食養生の思想。
例文:
身土不二の考えに基づき、地元の野菜を積極的に食べている。

砂上楼閣 (さじょうのろうかく)

意味・教訓:
砂の上に建てた高い建物のように、基礎が不安定で、長く維持できない物事のたとえ。
見かけは立派だが、実際にはもろく、実現不可能な計画など。
「砂上の楼閣」とも書く。
例文:
彼の計画は、実現性のない砂上の楼閣にすぎない。

まとめ – 大地の恵みと試練を映す言葉

大地を構成する「土」「砂」「泥」は、私たちの生活の基盤であり、時に試練ともなる存在です。
「土壇場」や「土俵際」のように決着の場を表す言葉、「土に帰る」と死生観を示す言葉、「土一升金一升」と価値を示す言葉など、「土」は人生の節目や基盤に関わる表現に多く見られます。

「砂上の楼閣」は脆さや儚さを、「砂を噛むよう」は味気なさを表し、「砂」は安定感のなさや不毛さを象徴します。
一方、「泥中の蓮」のように困難な状況から生まれる美しさもあれば、「泥沼にはまる」「泥仕合」のように抜け出せない苦境や醜い争いを「泥」は表します。

これらの言葉は、自然の恵みや厳しさ、そしてそれに翻弄されながらもたくましく生きる人間の姿を、土・砂・泥という身近な素材を通して豊かに描き出しているのです。


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