意味
「蟪蛄春秋を知らず(けいこしゅんじゅうをしらず)」とは、命がとても短いという意味のたとえです。
「蟪蛄」はツクツクボウシのことで、夏だけ生きて、春も秋も知らずに終わるところから、短命のたとえとして使います。
また、世間知らずなことのたとえにもいいます。
「蟪蛄は春秋を知らず」の形もあります。
- 蟪蛄(けいこ):ツクツクボウシ。
- 春秋(しゅんじゅう):春と秋。季節の巡り。
語源・由来
この言葉は、『荘子』の逍遥遊篇(= 荘子の最初の篇)が元です。
短い寿命と長い寿命を比べる箇所に、次の一節があります。
小年不及大年。奚以知其然也?朝菌不知晦朔,蟪蛄不知春秋。此小年也。
(短い寿命は長い寿命に及ばない。どうしてそれが分かるのか。朝菌は晦朔(= 月の終わりと初め)を知らず、蟪蛄は春と秋を知らない。これが短い寿命というものだ。)
朝菌と蟪蛄は、どちらも短い寿命の例として挙げられています。
このうち蟪蛄を取り上げた形が、「蟪蛄春秋を知らず」です。
使い方・例文
- 夏の一時だけ鳴く虫を見て、祖母は蟪蛄春秋を知らずとつぶやいた。
- 若くして世を去った詩人の生涯は、まさに蟪蛄春秋を知らずだった。
- 千年を生きる木に比べれば、人の一生も蟪蛄春秋を知らずに等しい。
- 町の外を知らずに大口をたたいていたころの自分は、蟪蛄春秋を知らずだった。
「蟪蛄春秋を知らず」の後に、八千年を春とする大椿が続く
蟪蛄が短い寿命の例なら、続きには反対に長い寿命の例が挙がります。
楚之南有冥靈者,以五百歲爲春,五百歲爲秋;上古有大椿者,以八千歲爲春,八千歲爲秋。
(楚の南に冥霊というものがあり、五百年を春、五百年を秋とする。大昔には大椿というものがあり、八千年を春、八千年を秋とする。)
さらに、彭祖は長生きで特に有名だが、世の人々が彼と並べようとするのは悲しいことではないか、と続きます。
春と秋を知らない蟪蛄と、八千年を春とする大椿の対比が、この一節の中心です。


コメント