ことわざ 慣用句

花も折らず実も取らず

(はなもおらずみもとらず)

二つのものを欲張って得ようとした結果、結局どちらも得られないこと。


11文字の言葉 / 「は・ば・ぱ」から始まる言葉
花も折らず実も取らず ことば
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意味

「花も折らず実も取らず(はなもおらずみもとらず)」とは、二つのものを同時に得ようと欲張った結果、結局はどちらも得られないことのたとえです。

  • 花も折らず:観賞用の花を手に入れることもできず。
  • 実も取らず:食用の実を収穫することもできない。

語源・由来

「花も折らず実も取らず」の由来は、植物の成長の理(ことわり)と、それを無視する人間の強欲さにあります。

一本の木に対し、「花を折り取って今すぐ楽しみたい」という願望と、「そのままにして秋に実を収穫したい」という願望は、本来両立しません。
花を折れば実はならず、実を待てば花は散ってしまうからです。

使い方・例文

二つのものを両方手に入れようと欲張って、結局どちらも得られなかった状況で使われます。

例文

  • デザインと機能の二兎を追い、花も折らず実も取らずの製品に終わった。
  • どちらの条件も満たそうと粘ったせいで、花も折らず実も取らずの結果を招いた。
  • 競合する二社の両方に八方美人に振る舞った挙句、花も折らず実も取らずで、どちらの契約も逃した。

誤用・注意点

似た字面の「花も実もある」と取り違えないよう注意が必要です。

  • 「花も実もある」との混同:
    「花も実もある(はなもみもある)」は、外見も実質も優れているという褒め言葉です。意味が正反対ですので、混同しないよう注意が必要です。

類義語・関連語

「花も折らず実も取らず」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 虻蜂取らず(あぶはちとらず):
    二つのものを同時に得ようとして、どちらも逃すこと。
  • 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず):
    欲張って二つのことをしようとし、両方とも失敗すること。
  • 一も取らず二も取らず(いちもとらずにもとらず):
    二つの選択肢で迷い、結局どちらの利益も得られないこと。
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対義語

「花も折らず実も取らず」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 一石二鳥(いっせきにちょう):
    一つの行為で二つの利益を得ること。
  • 一挙両得(いっきょりょうとく):
    一つの行動で、二つの利益を同時に得ること。

英語表現

「花も折らず実も取らず」を英語で表現する場合、二つを狙ってどちらにも失敗する状況を表すフレーズが使われます。

Fall between two stools

「二つの椅子の間に落ちる」
二つのもののどちらも選べず、中途半端になって失敗するという意味です。

Trying to be both a singer and an actor, he fell between two stools.
(歌手と俳優の両方を目指した彼は、花も折らず実も取らずに終わった。)

「花も折らず実も取らず」の花は、枝ごと折るもの

花のほうだけ「折る」となっているのは、言葉の綾ではありません。
古くは、花は枝ごと手で折り取るものでした。

『万葉集』巻五の836番に、陰陽師おんみょうじの礒氏法麻呂ぎしののりまろが詠んだ次の歌があります。

梅の花手折りかざして遊べども飽き足らぬ日は今日にしありけり
(梅の花を手で折り取って髪に挿して遊んでも、まだ遊び足りない日は、今日なのだなあ。)

「手折りかざして」は、手で折り取って髪に挿す、という所作です。
枝を折れば、その枝には実がなりません。
花を折る手つきと実を取る手つきは、はじめから両立しない関係にあります。

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