「猿も木から落ちる」と「河童の川流れ」のように、たとえに使う物は違っても意味が重なることわざがあります。
意味が近いことわざを27組・80語、テーマ別にまとめました。
意味に違いがある組は、表の後にその違いを添えています。
働きかけても効き目がないことを表す言葉
いくら働きかけても手応えや効き目がないことをたとえることわざです。
暖簾・糠・豆腐のような物に力を入れる言葉と、馬・犬・兎・牛に教えを聞かせても効き目がないという言葉があります。
価値の分からない相手に貴重な物を与えても無駄になるという言葉も、ここにまとめました。
| 暖簾に腕押し (のれんにうでおし) | 相手の反応が鈍く、こちらが働きかけても手応えがなく、努力が空回りしてしまうこと |
|---|---|
| 糠に釘 (ぬかにくぎ) | 働きかけても手応えや効き目がまったくないことのたとえ |
| 豆腐に鎹 (とうふにかすがい) | いくら意見や忠告をしても、まったく手応えや効き目がないこと |
| 馬の耳に念仏 (うまのみみにねんぶつ) | どれほど価値のある教えでも、聞く側に受け入れる気がなければ何の役にも立たないこと |
|---|---|
| 犬に論語 (いぬにろんご) | 道理の通じない相手に何を教えても、まったく効果がないことのたとえ |
| 兎に祭文 (うさぎにさいもん) | いくら意見をしても、効き目がないことのたとえ |
| 牛に経文 (うしにきょうもん) | いくら説き聞かせても、効き目がないことのたとえ |
| 牛に対して琴を弾ず (うしにたいしてことをだんず) | 志の低い者や愚かな者に高尚な道理を説いても、わからないことのたとえ |
| 猫に小判 (ねこにこばん) | 価値の分からない人に貴重なものを与えても、何の値打ちもなく役に立たないことのたとえ |
|---|---|
| 豚に真珠 (ぶたにしんじゅ) | 価値のわからない者に貴重なものを与えても無駄であることのたとえ |
名人の失敗と、身の程知らずの挑戦を表す言葉
どんなに優れた人でも失敗することがあるという教えと、力のない者が無謀にも強者へ挑む姿をたとえることわざです。
| 猿も木から落ちる (さるもきからおちる) | 得意な人や達人でも、時には失敗することがあることのたとえ |
|---|---|
| 弘法にも筆の誤り (こうぼうにもふでのあやまり) | その道の達人や名人であっても、時には失敗することがあるというたとえ |
| 河童の川流れ (かっぱのかわながれ) | その道の達人や名人でも、時には失敗することがあるというたとえ |
| 天狗の飛び損ない (てんぐのとびそこない) | その道の名人や達人であっても、時には失敗することがあるというたとえ |
| 上手の手から水が漏れる (じょうずのてからみずがもれる) | どんなに技芸に優れた人でも、時には失敗することがあるというたとえ |
| 蟷螂の斧 (とうろうのおの) | 弱小のものが自分の力量もわきまえずに、強敵に立ち向かうことのたとえ |
|---|---|
| 卵を以て石に投ず (たまごをもっていしにとうず) | 弱者が強者に挑んで、自分だけが損害を受けること |
| 蚍蜉大樹を撼かす (ひふたいじゅをうごかす) | 自分の力量をわきまえず、強者に立ち向かうことのたとえ |
思いがけない幸運や意外な出来事を表す言葉
苦労せずに、または思いがけず、よいものを手に入れることと、冗談で言ったことが現実になることをたとえることわざです。
あわせて、焦らず待っていれば、やがて良い機会がめぐってくるという言葉もまとめました。
| 濡れ手で粟 (ぬれてであわ) | 何の苦労もせずに多くの利益を得ることのたとえ |
|---|---|
| 棚からぼたもち (たなからぼたもち) | 思いがけない幸運を得ること。労せずしてよいものを手に入れること |
| 勿怪の幸い (もっけのさいわい) | 思いがけない幸運、予想もしなかったラッキーな出来事のこと |
「濡れ手で粟」は、骨を折らずに多くの利益を得ることで、やすやすと金もうけをすることにも使います。
「棚からぼたもち」と「勿怪の幸い」は、思いがけない幸運を得ることを表します。
| 瓢箪から駒 (ひょうたんからこま) | 意外な所から意外な物が出ること。冗談で言ったことが現実になること |
|---|---|
| 嘘から出た実 (うそからでたまこと) | 嘘や冗談として言ったことが、偶然にも事実になること |
| 果報は寝て待て (かほうはねてまて) | 運命は人間の力ではどうにもならないから、焦らずに幸運を待つのがよいということ |
|---|---|
| 待てば海路の日和あり (まてばかいろのひよりあり) | 今は状況が悪くても、焦らず待っていればやがて好機が巡ってくるということ |
欲張っての失敗と、役に立たない考えを表す言葉
二つの物事を同時に欲張った末に何も得られないことと、頭の中や見かけだけで実際の役には立たない考えをたとえることわざです。
| 二兎を追う者は一兎をも得ず (にとをおうものはいっとをもえず) | 欲張って二つの目標を追うと、結局どちらも失敗するという戒め |
|---|---|
| 虻蜂取らず (あぶはちとらず) | 二つのものを同時に得ようとして、結局どちらも得られないこと |
| 花も折らず実も取らず (はなもおらずみもとらず) | 二つのものを欲張って得ようとした結果、結局どちらも得られないこと |
| 欲の熊鷹股裂ける (よくのくまたかまたさける) | 欲を出して二つのことを同時にしようとし、かえって災難にあうこと |
| 机上の空論 (きじょうのくうろん) | 頭の中だけで考えた、現実には役に立たない理論や計画 |
|---|---|
| 絵に描いた餅 (えにかいたもち) | 見た目だけで役に立たないものや実現不可能な計画 |
| 畳の上の水練 (たたみのうえのすいれん) | 理論だけで実践が伴わず役に立たないことのたとえ |
備え・用心と、危険を承知の行動を表す言葉
いざという時に備えてあらかじめ準備することと、用心深く安全を確かめながら物事を進めることを表す言葉です。
あわせて、成否が分からなくても思い切ってやってみることと、あえて非常に危険なことをすることを表す言葉もまとめました。
| 備えあれば憂いなし (そなえあればうれいなし) | 事前に準備を整えておけば、いざという時に心配がないということ |
|---|---|
| 転ばぬ先の杖 (ころばぬさきのつえ) | 失敗や危険を防ぐために、あらかじめ十分な準備や用心をしておくこと |
| 濡れぬ先の傘 (ぬれぬさきのかさ) | 失敗や災難が起こる前に、あらかじめ十分な準備や用心をしておくこと |
| 石橋を叩いて渡る (いしばしをたたいてわたる) | 非常に頑丈に見えるものでも、用心深く安全を確かめてから物事を進めることのたとえ |
|---|---|
| 念には念を入れよ (ねんにはねんをいれよ) | 十分に注意した上にも、さらに注意を重ねて慎重に物事を進めるべきだという教訓 |
| 当たって砕けろ (あたってくだけろ) | 結果を恐れず、覚悟を決めて思い切って行動することの重要性を説く教訓 |
|---|---|
| 一か八か (いちかばちか) | 結果を天に任せ、リスクを承知で思い切って勝負すること |
| 伸るか反るか (のるかそるか) | 成功するか失敗するか結果は予測できないが、運を天に任せて思い切ってやってみること |
| 虎の尾を踏む (とらのおをふむ) | きわめて危険な状況に自ら飛び込むことのたとえ |
|---|---|
| 危ない橋を渡る (あぶないはしをわたる) | 目的のために、あえてリスクの高い危険な手段や方法を選ぶこと |
| 竜の髭を撫でる (りゅうのひげをなでる) | 強者を怒らせるような、極めて危険で無謀な行為のたとえ |
努力の積み重ね・月日の速さ・幸不幸のめぐり合わせを表す言葉
小さな努力を続ける大切さ、強い意志で一心に打ち込めば成し遂げられること、月日の過ぎる速さ、悪いことや災難が続くこと、幸不幸が入れ替わることを表すことわざです。
| 継続は力なり (けいぞくはちからなり) | 何事もあきらめずに長く続けていれば、やがて実力や成果となって現れること |
|---|---|
| 塵も積もれば山となる (ちりもつもればやまとなる) | 小さなことでも積み重なれば、やがて大きなものになること |
| 雨垂れ石を穿つ (あまだれいしをうがつ) | 小さな努力を積み重ねれば、最後には大きな成果を得られること |
| 石の上にも三年 (いしのうえにもさんねん) | 辛い状況でも辛抱強く続ければ、必ず成功すること |
「石の上にも三年」は、つらくても辛抱して続ければ報われることを表し、小さなことの積み重ねよりも、がまん強さに重きがあります。
| ローマは一日にして成らず (ろーまはいちにちにしてならず) | 大事業や成功は長い年月と努力の積み重ねで達成されるということ |
|---|---|
| 千里の道も一歩から (せんりのみちもいっぽから) | どんなに大きな事業も手近な第一歩から始まるということ |
| 石に立つ矢 (いしにたつや) | 強い意志と集中力によって、本来は不可能と思われることを成し遂げることがあるというたとえ |
|---|---|
| 精神一到何事か成らざらん (せいしんいっとうなにごとかならざらん) | 精神を集中させれば、どんな困難なことでも成し遂げられるということ |
| 蟻の思いも天に届く (ありのおもいもてんにとどく) | 微力な者でも、強く念じれば願いどおりになるということ |
| 光陰矢の如し (こういんやのごとし) | 月日の流れが、放たれた矢のように非常に速いこと |
|---|---|
| 歳月人を待たず (さいげつひとをまたず) | 月日は人の都合に関わらず過ぎ去るため、時間を大切にすべきだという教え |
| 一寸の光陰軽んずべからず (いっすんのこういんかろんずべからず) | わずかな時間も無駄にせず大切にすべきだという教え |
「光陰矢の如し」は月日のたつのが速いことだけを言い、「一寸の光陰軽んずべからず」は、わずかな時間もむだにしてはならないという戒めです。
「歳月人を待たず」は、年月が人の都合にかかわりなく過ぎていくことを言い、時間をむだにしてはならないという意味でも使われます。
| 泣きっ面に蜂 (なきっつらにはち) | 悪いことが起きている最中に、さらに別の悪いことが重なること |
|---|---|
| 弱り目に祟り目 (よわりめにたたりめ) | 不運な状況にあるところに、さらに不幸な出来事が重なること |
| 踏んだり蹴ったり (ふんだりけったり) | 重ね重ねひどい目に遭い、散々な状況になること |
| 一難去ってまた一難 (いちなんさってまたいちなん) | 一つの災難が終わると、すぐ次の災難が来ること |
|---|---|
| 虎口を逃れて竜穴に入る (ここうをのがれてりゅうけつにいる) | 一つの災難を逃れても、また別の災難にあうことのたとえ |
| 前門の虎、後門の狼 (ぜんもんのとらこうもんのおおかみ) | 一つの災難を逃れても、すぐに別の災難が来ること |
| 楽あれば苦あり、苦あれば楽あり (らくあればくありくあればらくあり) | 楽しいことの後には苦しいことがあり、苦しいことの後には楽しいことがあるということ |
|---|---|
| 禍福は糾える縄の如し (かふくはあざなえるなわのごとし) | 幸不幸は縄のように表裏一体で、交互にやってくるものであるという教え |
| 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり (しずむせあればうかぶせあり) | 人生には幸不幸の浮き沈みがあり、悪い時期の次には良い時期が来るというたとえ |
| 人間万事塞翁が馬 (にんげんばんじさいおうがうま) | 人生の幸不幸は予測できず、福が禍に、禍が福に転じることもあるということ |
恩を仇で返すことと、親切の報いを表す言葉
親切にした相手や世話をした相手から、かえって害を受けたり、立場を奪われたりすることを表すことわざです。
あわせて、人に親切にしておけば巡り巡って自分のためになるという言葉もまとめました。
| 恩を仇で返す (おんをあだでかえす) | 受けた恩に対して感謝せず、逆に害を与えるような仕打ちをすること |
|---|---|
| 後足で砂をかける (あとあしですなをかける) | 世話になった人や場所を去る際に、恩を仇で返すような迷惑をかけること |
| 飼い犬に手を噛まれる (かいいぬにてをかまれる) | 日頃から世話をしてきた目下の者から、思いがけず裏切られて害を受けること |
| 庇を貸して母屋を取られる (ひさしをかしておもやをとられる) | 一部を貸したばかりに、最後には全体を奪い取られてしまうこと。保護してやった相手に、恩を仇で返されること |
「庇を貸して母屋を取られる」は、一部を貸したために全部を奪われることが元の意味で、保護してやった相手に恩を仇で返されることにも使います。
| 情けは人の為ならず (なさけはひとのためならず) | 人に親切にすれば、巡り巡って自分のためになるということ |
|---|---|
| 人を思うは身を思う (ひとをおもうはみをおもう) | 他人に情けをかければ、やがて自分のためになるということ |
生まれつきの性質や親子、その道の専門家を表す言葉
幼い頃に身についた性質は変わらないという言葉と、子は結局のところ親に似るという言葉、そして親や師よりも子や弟子のほうが優れたものになるという言葉をまとめました。
あわせて、小さく弱い者にもそれ相応の意地があるという言葉と、その道のことはその道の者が一番よく知っているという言葉も加えています。
| 雀百まで踊り忘れず (すずめひゃくまでおどりわすれず) | 幼少期の習慣や癖は一生直らないという教訓 |
|---|---|
| 三つ子の魂百まで (みつごのたましいひゃくまで) | 幼い頃に形成された性格や気質は、一生涯変わらないということ |
| 蛙の子は蛙 (かえるのこはかえる) | 子供の性質や能力は、結局のところ親に似るものであるということ |
|---|---|
| 瓜の蔓に茄子はならぬ (うりのつるになすびはならぬ) | 平凡な親からは非凡な子は生まれず、原因に応じた相応の結果しか生じないという現実のたとえ |
| 一寸の虫にも五分の魂 (いっすんのむしにもごぶのたましい) | 小さく弱い者にも意地や誇りがあるため、決して馬鹿にしてはいけないということ |
|---|---|
| 蛞蝓にも角がある (なめくじにもつのがある) | 小さく弱い者でも、それ相応の威厳を示すものがあるということ |
| 餅は餅屋 (もちはもちや) | 何事においても、素人よりそれぞれの専門家に任せるのが一番良いということ |
|---|---|
| 蛇の道は蛇 (じゃのみちはへび) | 同類の者がすることは、その仲間なら容易に推測できるということ |
| 芸は道によって賢し (げいはみちによってかしこし) | 何事も、その道の専門家がよく知っているということ |
「餅は餅屋」は、その道のことはやはり専門家が一番であることを言います。
「蛇の道は蛇」は、同類のすることはその方面の者にはすぐ分かることを言い、「芸は道によって賢し」は、専門の事柄はその道の者がよく知っていることを言います。
同じ意味を別の物でたとえる言葉
この一覧の組では、同じ意味が別々の物にたとえられています。
手応えのなさは暖簾・糠・豆腐で、名人の失敗は猿・弘法大師・河童で、価値の分からない相手は猫と豚で表されています。
「豚に真珠」は新約聖書に由来する西洋のことわざで、「二兎を追う者は一兎をも得ず」も西洋のことわざです。



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