意味
当事者ではないのに首を突っ込むという、非難のこもった言い方です。
自分を指して「野次馬根性で見に行った」と、照れ隠しのように使うこともあります。
- 野次(やじ):あて字。もとは馬を指す言葉の一部。
- 馬(うま):人の後についてぞろぞろ動くさまの例え。
語源・由来
「野次馬」は、もともと馬そのものを指す言葉でした。
年老いた牡馬や気性の強い馬を指す意味は、今も残っています。
語源については「おやじ馬」が縮まったという説と、「やんちゃ馬」が縮まったという説の二つが挙げられています。
どちらの説でも、群れの後ろについて回るばかりで役に立たない馬という含みが共通しています。
その馬の姿から、人の騒ぎのあとをぞろぞろ追いかける人々を指すようになりました。
江戸時代の歌謡集『松の葉』にも「日本一の野次馬」という言い回しが出てきます。
「野次」という漢字はあとから当てられたもので、字面に意味はありません。
使い方・例文
「野次馬」は、事件や事故の現場に人が集まる場面や、他人の騒ぎに関わりたがる態度を評する場面で使われます。
- 交差点の事故現場に野次馬が集まり、車が動かなくなった。
- 関係者でもないのに、野次馬のように口を挟むのはよそう。
- 正直に言えば、半分は野次馬根性で会場をのぞきに行った。
「野次馬根性」という言い回し
「野次馬」は「野次馬根性」「野次馬的」といった形でもよく使われます。
いずれも、当事者でもないのに首を突っ込みたがる気持ちを指します。
自分の行動を軽く言い訳するときにも用いられ、その場合は他人を責めるときほど強い響きにはなりません。
報道の分野では、現場に集まった見物人を指す言葉としてそのまま使われています。
類義語・関連語
「野次馬」と同じく、当事者ではない立場から出来事を眺める態度を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 高みの見物(たかみのけんぶつ):
関わらずに離れた場所から眺めている態度。 - 下馬評(げばひょう):
関係のない人たちが好き勝手に交わす前評判。 - 岡目八目(おかめはちもく):
そばで見ている者のほうが物事の是非をよく見抜けること。
「野次馬」と「高みの見物」の違い
どちらも当事者ではない立場を表しますが、その人の動き方が違います。
「野次馬」は騒ぎの近くまで押しかけ、「高みの見物」は安全な場所から動きません。
| 語句 | その人の位置 | 態度 |
|---|---|---|
| 野次馬 (やじうま) | 騒ぎのすぐそば | 押しかけて騒ぐ |
| 高みの見物 (たかみのけんぶつ) | 離れた安全な場所 | 手を出さず眺める |
英語表現
rubbernecker
首を伸ばして眺め回す人、という意味で、事故現場に群がる見物人を指す言い方。
A crowd of rubberneckers blocked the road.
(野次馬の人だかりで道がふさがれました。)
onlooker
その場に居合わせて見ているだけの人を表す、中立的な言い方。
The onlookers did nothing but take photos.
(野次馬は写真を撮るばかりでした。)
馬が人をたとえる言葉になるまで
日本語には、馬を使って人の態度を言い表す言葉が多く残っています。
人の意見を聞き流す「馬耳東風」、値打ちの分からない相手に贈る「馬の耳に念仏」、どこの誰とも知れない者を指す「馬の骨」などです。
いずれも馬そのものをけなす言葉ではなく、馬の動きや反応に人の姿を重ねた言い方になっています。
「野次馬」も同じ作りで、群れの後ろについて回る馬の様子が、人の行動を指す言葉へ移りました。









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