意味
「天狗になる」とは、少しの成功で得意になり、自分の力を実際より大きく見積もることを表す慣用句です。
喜んでいる状態ではなく、うぬぼれて周囲が見えなくなっている状態を指します。
戒めや心配とともに使われ、ほめ言葉にはなりません。
- 天狗(てんぐ):山にすむとされた、鼻の高い姿で描かれる妖怪。
語源・由来
「天狗になる」は、天狗の面が持つ高い鼻から生まれた言い方です。
日本語には、得意になることを「鼻が高い」、自慢することを「鼻にかける」と言う表現があります。
鼻が誇りの高さを表す部位として使われてきたところに、鼻の飛び出た天狗の顔が重なりました。
得意になっている人を、鼻をいちばん高く描かれた妖怪になぞらえたのがこの言葉です。
天狗はもともと、修行を積みながら思い上がったために魔道に落ちた者の姿としても語られてきました。
力を持ちながら慢心したという筋立てが、この慣用句の使われ方とよく合っています。
使い方・例文
「天狗になる」は、成果を出した人が謙虚さを失う場面や、そうなることを心配する場面で使われます。
- 一度勝ったくらいで天狗になるな、と監督に釘を刺された。
- 受賞してから彼は天狗になり、助言を聞かなくなった。
- 売上が伸びた時こそ天狗にならないように気をつけたい。
類義語・関連語
「天狗になる」と同じく、自分を高く見積もる態度を表す言葉には以下のようなものがあります。
「天狗になる」と「鼻が高い」の違い
どちらも鼻から生まれた言い方ですが、評価が違います。
「鼻が高い」は誇らしい気持ちそのものを指し、身内の活躍を喜ぶ場面など、良い意味でも使えます。
「天狗になる」は行き過ぎた状態を指すので、良い意味では使えません。
| 語句 | 評価 | 他人にも使えるか |
|---|---|---|
| 天狗になる (てんぐになる) | 行き過ぎ | 戒めとして使う |
| 鼻が高い (はながたかい) | 誇らしい | 喜びとして使う |
対義語
- 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす):
実力のある者ほど、それを見せびらかさないこと。 - 実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな):
身につけた人ほど、かえって腰が低くなるという教え。
天狗の鼻が高くなるまで
天狗は、はじめから鼻の高い姿だったわけではありません。
古い絵巻に描かれた天狗は、くちばしを持つ鳥の姿をしています。
鼻の突き出た赤い顔で描かれるようになるのは中世以降で、山伏の装束と結びついた姿が定着してからのことです。
いま各地の祭りで見かける鼻の高い天狗の面は、この後の時代の姿にあたります。









コメント