意味
「開いた口が塞がらない(あいたくちがふさがらない)」とは、思わず開けた口を閉じられなくなるほど、相手の言動に衝撃を受けることを指す慣用句です。
古くは不思議な出来事に驚く場面でも使われましたが、現在では相手の言動にあきれる、否定的な場面で使われることがほとんどです。
語源・由来
「開いた口が塞がらない」は、驚きのあまり口を開けたまま何も言えなくなる様子を、そのまま言葉にした慣用句です。
古くは「開いた口が塞がらぬ」の形でも使われました。
使い方・例文
「開いた口が塞がらない」は、相手の言動やあまりの出来事に、驚きあきれた場面で使われます。
- 遅刻の言い訳を悪びれずに続ける彼に、開いた口が塞がらなかった。
- 予算の10倍もする見積書を見て、開いた口が塞がらない。
類義語・関連語
「開いた口が塞がらない」と同様に、強い驚きやあきれを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 二の句が継げない(にのくがつげない):
驚きに限らず、返す言葉が出てこないこと。 - 呆気に取られる(あっけにとられる):
突然の出来事に驚き、放心状態になること。
「開いた口が塞がらない」と類義語の違い
3つとも驚きを表しますが、「開いた口が塞がらない」はあきれの色合いが濃く、「二の句が継げない」は驚き以外の場面でも使え、「呆気に取られる」はあきれより放心のニュアンスが強い言葉です。
| 語句 | 中心の感情 | 使える場面 |
|---|---|---|
| 開いた口が塞がらない | 驚き+あきれ | 相手の言動にあきれる時 |
| 二の句が継げない | 言葉に詰まる | 驚き以外でも幅広く |
| 呆気に取られる | 驚き+放心 | 予想外の出来事に |
英語表現
jaw-dropping
直訳すると「顎が落ちるほどの」で、驚きのあまり口が開いたままになる様子を表す表現。
The news of his resignation was jaw-dropping.
(彼が辞任するというニュースには心底驚いた。)
speechless
「言葉が出ない」を意味し、驚きやあきれで何も言えなくなる状態を表す表現。
I was speechless when I saw the mess he’d made.
(彼が散らかした様子を見て、言葉を失った。)
元禄の小説では、亡霊に会った旅人の驚き
江戸時代の作家西沢一風の小説『御前義経記』(1700年)には、「あいた口のふさがらず」という形で出てきます。
旅の一行が大磯のあたりで夜道に行き悩み、庵で二人の女から茶をもらう場面です。
女たちは、自分たちはかつて曾我兄弟の恋人だった遊女で、すでにこの世の者ではないと身の上を語ります。
一行が夜の嵐や雀の羽音で目を覚ますと、そこは荒れ野で、庵と見えたのは松の茂みでした。
茶をくれた女たちは夢か幻かと、一行は「あいた口のふさがらず」となります。
ここで口がふさがらないのは、相手にあきれたからではなく、思いもよらない出来事に驚いたからです。
いまはあきれる場面で使うことがほとんどですが、この言い回しは、ただ驚いて口が開いたままになる様子にも使われていました。










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