故事成語

千里の馬

(せんりのうま)

一日に千里も走る名馬。転じて、非凡な才能を持つ人物のたとえ。

異形:千里の駒

6文字の言葉 / 「せ・ぜ」から始まる言葉
千里の馬 ことば
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意味

「千里の馬(せんりのうま)」とは、一日に千里もの道のりを走り抜けるほどの、並外れた俊足を持つ名馬という意味です。
そこから転じて、周囲よりも抜きん出た力量を持つ人物を指す言葉としても使われます。

  • 千里(せんり):非常に遠い距離のたとえ。

語源・由来

この言葉のもとになったのは、中国戦国時代の書『戦国策』燕えん策に登場する、郭隗かくかいと燕の昭王しょうおうのやり取りです。
国を立て直したい昭王が人材の集め方を尋ねたところ、郭隗はこう答えました。
かつてある君主が、千金を出して千里を走る名馬を探させましたが、三年たっても見つかりませんでした。
従者が申し出て、三か月で名馬を見つけたときには、その馬はすでに死んでいましたが、従者はその首を五百金で買い取って持ち帰りました。

死馬且買之五百金,況生馬乎
(死んだ馬でさえ五百金で買ったのです。まして生きた名馬であれば、なおさら高く買うでしょう。)

この評判が広まると、一年もたたないうちに、本物の千里の馬が三頭も集まってきたと伝えられています。
この話では、千里の馬が優れた人材のたとえとして語られています。
同じ話は「死馬の骨を買う」「先ず隗より始めよ」の出典でもあります。

使い方・例文

人を指して使うときは、抜きん出た才能を持つ人をほめる言い方になります。

  • 彼は入社1年目にして大型契約をまとめ上げ、社内では千里の馬だと噂されている。
  • この若手選手は、球団が長年探し続けていた千里の馬かもしれない。
  • 師匠は一目で、目の前の若者が千里の馬だと見抜いた。

類義語・関連語

この言葉と同様に、並外れた才能を持つ人物をたとえる言葉に、次のようなものがあります。

  • 麒麟児(きりんじ):
    将来の活躍が期待される、若く並外れた才能を持つ人物。

「千里の馬」と「麒麟児」の違い

どちらも並外れた才能を持つ人物をたたえる言葉ですが、対象となる年齢層が異なります。
「千里の馬」は年齢を問わずに使えるのに対し、「麒麟児」は主に将来が期待される若者や子供に対して使う言葉です。

語句対象となる年齢層
千里の馬
(せんりのうま)
特に限定されない
麒麟児
(きりんじ)
主に将来が期待される若者・子供

英語表現

a diamond in the rough

直訳は「磨かれていない原石」。
まだ広く知られていないが、優れた素質を持つ人やものを指す表現。

The coach spotted her at a small local tournament and knew she was a diamond in the rough.
(コーチは小さな地方大会で彼女を見つけ、磨けば光る逸材だと見抜いた。)

one in a million

直訳は「百万人に一人」。
それほどまでに稀で、卓越した人物を評価するときに使う表現。

Everyone in the department says she’s one in a million — the kind of talent you rarely see.
(部署の誰もが、彼女はめったに出会えない逸材だと言う。)

韓愈「雑説」の千里の馬と伯楽

優れた馬でも、その価値を見抜く人がいなければ、ただの馬と変わりません。
そう説いたのが、唐の文人韓愈かんゆが書いた「雑説」という文章です。
冒頭には、次の一節があります。

世有伯楽、然後有千里馬。千里馬常有、而伯楽不常有。
(世に伯楽がいて、はじめて千里の馬がいると分かる。千里の馬はいつの時代にもいるが、それを見分けられる伯楽はめったにいない。)

伯楽はくらくとは、馬の良し悪しを見分ける目利きの名人を指します。
この文章はこのあと、千里を走る力を持つ馬でも、飼い主にその力を見抜かれなければ、並の馬と同じ餌・同じ扱いのまま生涯を終えると続きます。
同じ一頭の馬であっても、それを見る人によって「並の馬」にも「千里の馬」にもなり得るという指摘です。
韓愈は人材の登用を馬にたとえ、才能の有無だけでなく、それを見抜いて用いる側がいるかどうかが結果を分けると説いています。

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