意味
「頭の黒い鼠(あたまのくろいねずみ)」とは、家の中の物を盗み取る者をいう言葉です。
物が急になくなったとき、盗んだのはネズミではなく身近にいる人間ではないかとほのめかす、皮肉のこもった言い回しです。
語源・由来
「頭の黒い鼠」は、頭髪の黒い人間を、鼠になぞらえた比喩表現です。
使い方・例文
- お菓子が次々消えるので、家の中に頭の黒い鼠がいると疑っている。
- 備品がまた足りない。社内のどこかに頭の黒い鼠がいるらしい。
- 小遣いが減っていた。犯人は頭の黒い鼠、つまり弟だった。
使う際の注意点
「頭の黒い鼠」は、物を盗んだのは身近な人間だとほのめかす言葉です。
特定の相手を前にして使えば、その人を泥棒扱いすることになります。
鼠が出てくることわざ・慣用句
鼠が出てくることわざ・慣用句には、次のようなものもあります。
- 窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ):
追い詰められた弱者が、必死の反撃で強者を苦しめること。 - 大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき):
事前の騒ぎばかりが大きく、実際の結果が小さいこと。 - 袋の鼠(ふくろのねずみ):
追い詰められて、逃れる方法が全く無い状態のこと。
坂口安吾『屋根裏の犯人』の隠居も「頭の黒い鼠」を疑った
坂口安吾の小説『屋根裏の犯人』(1953年)には、この言葉で身近な者を疑う場面があります。
大晦日の煤払いの最中、隠居の婆さんが盗まれたと騒いでいた銀包みが、母家の屋根裏から落ちてきます。
小僧が「鼠がひいて持ってッたのさ」と言うと、隠居は次のように返します。
フン。私の隠居家は別棟になっているのに、母家の屋根裏からでるとはフシギじゃないか。そんな遠歩きする鼠の話はこの年になるまで聞いたことがありませんよ。大方、頭の黒い鼠がひいたものだろうよ。そんな鼠と同居じゃア油断ができない。夜もオチオチねむれやしないよ
(坂口安吾『屋根裏の犯人』1953年)
鼠のしわざだと言う小僧に対し、隠居は、銀包みを持ち出したのは同じ家に暮らす者だとほのめかしています。
このあと医者の妙庵先生が鼠使いを呼び、鼠が物をくわえて運ぶところを実際に見せて、隠居を納得させようとします。



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