意味
「物言えば唇寒し秋の風(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ)」とは、人の短所を言った後は、なんとなく寂しい気持ちになるという意味です。
転じて、何事につけても余計なことを言うと、災いを招くという戒めとしても使われます。
語源・由来
この言葉は、松尾芭蕉が詠んだ句です。
芭蕉はこの句の前に「座右の銘」として、次の言葉を添えました。
座右の銘 人の短をいふ事なかれ 己が長をとく事なかれ
(人の短所を言ってはいけない。自分の長所を得意になって話してもいけない。)
この前書きに続けて、芭蕉は「物言えば唇寒し秋の風」と詠み、人の短所を口にした後の、なんとなく寂しい気持ちを表しました。
前書きの言葉は、中国の詩文集『文選』に収められた後漢の崔瑗の「座右銘」の冒頭の二句と同じ内容です。
この「座右の銘」は貞享年間(1684~88年)に成ったといわれ、句とともに、芭蕉の没後に門人の中村史邦が刊行した『芭蕉庵小文庫』に収められています。
使い方・例文
- 友人の悪口を言ってしまった後、まさに物言えば唇寒し秋の風だと感じた。
- 同僚の欠点をつい話してしまい、物言えば唇寒し秋の風という気持ちになった。
- 陰口を言った後の気まずさに、物言えば唇寒し秋の風ということわざを思い出した。
- 会議で余計な一言を口にしたばかりに面倒な仕事を任され、物言えば唇寒し秋の風だと身にしみた。
類義語・関連語
余計なことを言うと災いを招くという戒めを表す点で共通しています。
- 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
うっかり言った言葉が原因で、思わぬ災いを招くこと。



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